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見破れ! ライダー!

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「わははは、お前がそう来ることくらい読めておるわ、バリアを張り巡らせてあるのじゃ、レディ9、貴様がいかに身が軽くともこの檻からは出られんぞ! 貴様らは既に袋のねずみ、いや、袋のバッタだ、今だ! 戦闘員どもよ、ライダーどもを吹っ飛ばしてしまえ!」
 四方から戦闘員が現れ、その肩にはロケットランチャーが……。
「貴様らがいかにすばしこくてもその檻の中ではロケット弾を避ける事は出来まい! やれ! お前たち!」
「あのー、博士……」
「何じゃ、早くやってしまわんか!」
「これ、外れると向かいの仲間に当たりませんかね……」
「何をくだらぬことを! 全部命中させれば済むことじゃろうが」
「そう上手く行くとは……」
「上手くやれば良いではないか!」
「そう言われましても……スミマセン、少し横にずれます……」
「この弱虫共が……ああ、構わぬ! 正面から少し外れても構わん、結果に差はなかろう、さっさとやれ!」
「「「「はい!」」」」
 四方からのロケット弾攻撃! 檻はたちまち爆炎に包まれた!
「やったか?」
 爆炎が収まると、檻の中にライダーたちの姿はない。
「???? 死骸がないが……そうか、跡形もなく吹っ飛んだのだな? やったぞ! とうとうにっくきライダーどもを葬り去ってやったわ! わははははは、わははははは」
 演習場に響く死神博士の高笑い……しかし……。

「残念だったな、死神博士」
 四体の怪人が姿を現したり消したりした場所にライダーチーム四人それぞれの姿が……。
「そんなに簡単にやられるわけはないだろう?」
「四体の怪人は全てこいつが化けてたんだろう? ムジナは姿を変えて人を化かすのが得意だからな」
 マッスルが気を失っているムジナ男を放り投げた。
「き、貴様ら、あの爆炎からどうやって……」
「横はダメ、上もダメでも『下』があるわよ」
「下?……地中かっ! だが穴を掘る時間など……」
「穴なら最初からあったのさ、そのくらい調査済みだよ」
「な、なんだと?」
 狼狽する死神博士にライダーがそう言い放った。
「ど、どうして四体の怪人は全てムジナ男の変化(へんげ)だと……?」
「最初からおかしかったんだよ、ムジナ男は姿形を変えて人を化かすことはできるが、戦闘能力は大したことはないんだろう? だから騒ぎを起こしては真っ先に人に姿を変えて野次馬に紛れていたんだ……それを確信したのは晴子が気づいた背中の模様でだよ」
「も、模様だと?」
「ムジナは背中に白い十字模様がある、どの怪人にも同じものがあったからな」
「そ、そうだったか……し、しかし、穴の秘密は……?」
「ムジナは土堀りが得意で長いトンネル状の巣を作る、その穴を移動してモグラタタキみたいに顔を出しては引っ込んでいたんだろう?」
「し、しかし……貴様ら四人が身を隠せるほどの穴は……」
「この檻を仕込むのにもムジナ男を使ったんだろう? そいつは自分が作業しやすいように檻の内側の部分に大きな空洞を作っていたんだよ」
「そうよ、あとはあたしの土遁の術で薄い地表を崩せば、四人が身を隠せる空洞が現れたってわけ」
「まあ、あの爆炎はさすがにちょっとばかり熱かったがな」
「く……くそっ……ムジナ男、手を抜きおって……」
「まあ、貴様の人望のなさを責めるんだな、見ろ、ロケットランチャーを担いでいた戦闘員たちもひっくり返ってるぜ、軸をずらして正解だったな、そうでなければ直撃だったよ」
「し、しかし、どうやってその空洞を見つけたのだ……?」
「ライダーチームにはもう一人いるのを忘れたか?」
「……あの陰陽師か……」
「そうよ! 私の名はアベノセイコ!」
 それまで隠れていた晴子が身を現した。
「陰陽師は動物に呪をかけることで式神として従えられるの、モグラを捕まえて式神にすればそこらじゅうのモグラが全部味方に付けられるのよ、地下の調査ならモグラに勝るものはないわ……さあ、死神博士、観念なさい!」
「フン、抹殺には失敗したが、貴様らに捕まるようなワシではない、最後の手段は隠しておくものだ」
「何っ?」
「次こそ貴様らを葬り去ってやる、覚悟していろ! I’ll be back!」
 死神博士が両腕でマントを勢い良く広げると硬化して大きな羽に形を変えた。
「憶えておれ!」
 死神博士は丘の上から身を翻し、ハンググライダーのように滑空し始めた……が……。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ」
 風にあおられて死神博士はバンスを崩す。
「まあ、奴のことだ、装備を開発するのには熱心だが、それを使いこなすための練習はしていないんだろうな」
「基本的に身体を動かすのは嫌いみたいだしな」
「お~い! 死神~! その谷は深いぞ~っ!」
「し、知っておるわ! ワシはこのくらいの失敗で諦めんぞ、いつの日か必ず貴様らを葬り去ってやる!」
「そこから墜落して助かったらだがな!」
「うわぁぁぁぁぁぁ………………」
 死神博士の悲鳴が深い谷底へと消えて行った……。

「今度こそお陀仏かな……」
「さあな、悪運の強さとしぶとさだけは認めてやらなきゃならん男だからな……」
「まあ、助かってもしばらくはベッドの上だろう、それに首領が『次こそ頑張れ』なんて言ってくれるとも思えんしな……」
「まあ、何はともあれ一件落着だ、おやっさんのところへ戻ろう」

 ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

「くそぅ……ライダー共め……ワシをこんな目に遭わせよって……」
 死神博士は両腕、両足を石膏で固められ、ベッドに横たわって呻いていた。
 すると……。
「死神博士よ……」
 首領の声が病室に響き渡る。
「あ、首領様……申し訳ございません! 次こそ必ず」
「……もう良い……もう良いのじゃ……貴様にはもう何も期待せん……」
「しゅ、首領様……」
「辞令を楽しみに待つがよい……」
 前回はエジプト支局への左遷……次はどこに飛ばされるのだろうか……。
 だが、諦めの悪さなら人後に落ちない死神博士、必ずやどこかで復活するに違いない……。

         (終)
作品名:見破れ! ライダー! 作家名:ST