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白い着物姿の女たち

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 私は夜人一人がやっと歩ける山道を、歩いている。

 途中、白い着物姿の女が下って来たので、避け様としていると、女は構わず進んで来て、私にぶつかりそうになったが、風の様に通り抜けた。

 暫く歩くと、又白い着物姿の女と擦れ違った。
 さっきの女と似ている気がした。

 又暫く歩いていると、やっぱり白い着物姿の女と擦れ違った。
 私は女に、上で何かあったのですか、と聞いたが、女は聞こえないように、下って行った。

 暫く歩いていると、又白い着物姿の女に会ったので、愈々おかしいと思い、女に、上で何かしているのですか、と聞くも、やっぱり女は聞こえないように、下って言った。

 私は、これは何か、怪しいと思った。

 暫く又歩いていくと、白い着物姿の女が歩いて来たので、女の前に立ち塞がった。
 それでも女は、風の様に通り過ぎて行った。

 私は怪しいと思いながらも、歩いて行くと、白い着物姿の女が歩いて来たので、今度は体を掴もうとしたが、女は風の様に、掴みどころがない。

 私は歩くのを止め、山から下ることにした。

 下っていると白い着物姿の女が登って来た。
 初めに見た女の様に思うが、そうでもない気もする。

 私は突然恐ろしくなり、踵を返した。

 すると下って来る白い着物姿の女にも鉢合わせになった。
 私はその場から動けず、痺れた様に立ち竦んでいた。

 女達は静々と風の様に通り過ぎ、それぞれが逆の方向に進んでいく。
 次々に、女達が通り過ぎて行く。

 その流れは、絶えることが無い。
 一定の間隔を保ちながら、白い着物姿の女の行列は進んでいる。

 私は墓の処迄下って来ると、そこで白い着物姿の女達が、墓の中に消えて行き、やがて又出てくる様子を、背筋が凍る思いで見ていた。

 女達は山中の寺と、山裾近くにあるこの墓の間を、御百度参りのように、行ったり来たりしているらしい。

作品名:白い着物姿の女たち 作家名:忍冬