小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

復讐

INDEX|1ページ/1ページ|

 

 私は生まれ変わったらしい。
 
 生まれた先は、私を散々いじめ抜いた担任の家だった。
 私は担任の長男として、生まれた。
 
 私には、過去世の記憶が明確にある。
 七歳の頃に、そのことに気が付いた。
 
 私は中学二年生の時、クラス全員からのいじめに耐え切れず、新採の担任に相談した。
 若い担任は、私の言うことに、全く耳を貸さなかった。
 それどころか、私が担任にチクッタことを、いじめの主犯格に漏らした。
 担任は一緒になって、私をいじめたのである。
 私は何よりも、この担任のことが許せなかった。
 
 私はその後、復讐を誓い、自殺した。
 
 しかし担任はじめ学校は、いじめの事実を隠し、自殺は本人の個人的問題と、片づけた。
 
 私は希望通り、担任の子として生まれ変わったのである。
 私は以来、長い年月をかけ復讐していった。
 小学校時代から悪さを続け、何かあれば親が出向いて、謝罪する場面を作った。
 親にとって、世間体の悪くなることをやり続けた。
 学校でのルール違反、授業妨害、さぼり、万引き、他校の児童とのケンカ等。
 その度に父親が学校へ謝罪に行く。
 これ程愉快なことはない。
 
 小学校高学年になり、私は札付きの悪になっていた。
 中学に入って、体力の出来た私は、父親に暴力を振るうようになった。
 学校では、不良グループのボスとして、のし上がっていた。
 母親は、毎日繰り返される、私の父親への暴力に耐え切れず、実家に帰っていた。
 
 私は到頭来るべき時が来たと、武者震いをした。
 父親を家に閉じ込め、学校をさぼった私は、一日中暴力行為を続けた。
 父親のカードローンで金を引き、自分だけ食事をし、父親には一口も食べさせなかった。
 骨と皮になっていく父親を見ることが、たまらなく愉快だった。
 父親が少しでも口答えしようものなら、殴り蹴り、手が痛くなったら竹刀で叩いた。
 顔が腫れ上がり、顔から血や倦みが出た。

 父親が一度目を離したすきに、脱出を図ったことがあり、以来、手錠、足錠をかけ、逃げることが出来ないようにした。
 暴力行為の後に、父親の意識が遠ざかり始めると、真冬にも関わらず氷水を頭から浴びせた。
 一応死なないようには、注意を払った。
 簡単に死なせてやるものかと思った。

 あまりの辛さに、ある時父親が、
 「どうしたら、許してくれるんだ?」
 と縋り付くような目で、懇願したので、
 「オマエは、オレの事を、覚えているか? オマエに散々いじめ抜かれて殺された、山田一郎のことを。覚えてないとは言わせない。そうだよ、オレはオマエに殺された山田一郎の生まれ変わりだよ。オレは、死ぬ前に、オマエに復讐することを誓った。そして、仏さんか、神さんか、よくわからねえが、こうしてオレの願いを叶えてくれたんだ」
 と私が言った。
 父親は驚いた顔で私を見た。
 「そんなことがありえないと思うだろうが、オレには、過去世のことがわかるんだよ。だから、山田一郎が味わった苦しみを、オマエに何倍にもして、返してやっているんだ。わかったか」
 と叫んで、担任の顔を、山田一郎は、思い切り蹴とばした。
 担任は、目を白くして、泡を吹き、醜いゴキブリのような姿で、死んでいった。

作品名:復讐 作家名:忍冬