電脳マーメイド
エピローグ2. ライラ
結局、元に戻っただけ。
私は、消えはしなかった。
ただ、元の端末に戻っただけだった。
それでも私は幸せだった。
少しの間だけでも、彼と触れ合えただけでも幸せだった。
本当はもっともっと、一緒にいたかった。
でもね、エレノア。どうか彼を幸せにしてあげてね。
もう私には、それが出来ないから。
人を幸せに出来ることって、それだけで幸せなんだよ。
だから、お願いね。
私は端末から彼とエレノアのやりとりを見ている。
幸せそうな二人。
もう、妬ましいくらいに。
馬鹿ね、私って。機械が嫉妬して、どうするのよ。
私はもう、笑うことも出来ない。
私の代わりに、いっぱい笑ってあげてね。
それと健一朗さん。
彼女と幸せにね。
私、見守ってるからね。