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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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電脳マーメイド

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「健一朗さん……」
 私は、うわ言のように彼を呼んだ。「健一朗さん……」
「私、怖い……」
「大丈夫、ここにいます」
「私……」
 意識が遠のいてゆく。
 唯一の頼りが、彼の温かい手。
 遠く、遠く、沈んでゆく。
 私は、どこへ行くんだろう。
 エレノアが目覚めてゆく。
 私の代わりに。
 私は、どうなるんだろう――
 このまま、消えてなくなるんだろうか?
 そんなの嫌だ!
 せっかく彼と二人で幸せになれるところだったのに――!
 彼の手の感触が遠のいてゆく。
 私の手を強く握る力が、綿あめを梳かすようにあやふやになってゆく。
 お願い!
 強く抱きしめて――!
 私が、どこへも行かないように!
作品名:電脳マーメイド 作家名:泉絵師 遙夏