金髪女性とニッタン(おしゃべりさんのひとり言 その21)
そこでお得意の、オークションで中古を落札することに決めた。
大型の90センチ曲げガラス水槽(¥6,000)、90センチ水槽用ヒーター(¥500)、旧式アナログの200リットル用クーラー(¥8,000)、90センチ水槽用外部フィルターユニット(¥5,000)、90センチ水槽用LEDライト(¥3,000)
その他諸々、台も含めて、3万円程度で定価33万円の装備をそろえた。(もう6年くらい経つけど、まだ壊れてない)
でもそれからが長かった。
フィルターは大型なのに、全然水質が安定しないのだ。
暑い時期だったにせよ、水温は25度で保っていても、細長い魚を中心によく死んでしまうのだ。
何でだろう?これには悩んだ。
闇雲に毎週、川や用水路、様々なポイントへ、新しい魚を捕獲に行った。
でも水槽に入れた新入りの寿命が短くなるだけだった。
あの外人さんにアドバイスを求めようにも、あれからなかなか彼女に会えなかった。
仕方ないので、ネットで調べたら、水質安定にはバクテリアの繁殖を待つ必要があったらしい。
なんだか予想以上に本格化するなと思いながら、生体をすべて取り出し、“バクテリアの素”みたいな液体を使って、水だけを2週間ほど回し続けてみた。
結果、水質が安定したのか、魚を入れても死ななくなった。
面白いので色んな魚を入れてみた。
鯉、フナ、タナゴ、タモロコ、モツゴ、マドジョウ、スジシマドジョウ、オイカワ、カワムツ、アブラハヤ、ヨシノボリ、メダカ・・・さらには金魚やアカハライモリ、オタマジャクシまで。
大型肉食魚はケンカするだろうし、やめておいた。
暫くはどの個体も星になることなく、うまくいっていた。
でも、メダカはあまり生き残らない。
メダカって弱い魚なのかな?それとも神経質で、混泳に向かないのかな?と色々と考えたけど、そうでもないらしい。
ネットで調べても、水草などの隠れ家を作ってやって、大型肉食魚がいなければ問題はないようだが。
メダカには水質が合わないのかと、疑問は募るばかり。
外人さんに聞きたい。でもまだ会えない。
何とか自力で対処するしかない。
ある日、減ったメダカを補充して、水槽をよーく観察してみた。
するとだ。なんということだ。急に鯉が生き生きと暴れだし、新入りメダカをバックバク食っとるじゃないか。
鯉って肉食だったの~~~?
僕は慌ててメダカを隔離することにした。
90センチ水槽の上に、もう一段、90センチ幅の薄型水槽を載せて、上下の水を循環させるオーバーフロー方式を採用した。
(段々本格的になってるでしょ。ハマってしまったんだ)
上段の水槽に水草とメダカを数十匹、それにヌマエビとタニシも入れてみたら、仲良くしていて全然数が減らなくなった。
もう始めてから、3か月ほどが経過していたけど、この頃には水が濁ることもなく、生体が突然死んでいることもなくなってきた。
もう外人さんに自慢できると思い、いくら河原を散歩しても、彼女には会えない。
恋しい訳じゃないけど、あれだけしょっちゅう出会う人だったのに、あれから一度も顔を見ることはなかった。
なんとなく切ない気持ちで、水槽のメダカを見ていたら、そこにメダカの赤ちゃんが泳いでいることに気が付いた。
この水槽で繁殖までしている。
よくみると、エビも赤ちゃんがいる。
スゴイ!
興奮してその様子を眺めていたら、親のメダカが、バックバク赤ちゃんを食っとる。
僕のニッタン水槽の研究は、まだまだ続くのだった。
つづく
作品名:金髪女性とニッタン(おしゃべりさんのひとり言 その21) 作家名:亨利(ヘンリー)