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コーンのヒーロー
コーンのヒーロー
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社会的の意味

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 昔々、どっかの誰かが言った。

『人間は社会的動物である。』

 じゃあ社会的動物ってどういう動物なんだろう。
 僕はよく分からなかったので、いろんなものに聞いてみた。



「ねぇねぇ、人間ってどういう生き物なの?」

 籠の中のインコは答えた。

「全くもって酷い生き物さ」

 僕は驚いた。

「何で?」

 インコは不満げに鼻を鳴らした。

「人間は我が儘だ、自分の為なら他の事なんて二の次さ、もっと僕を労ってくれよ」

「君も同じような事を言ってるじゃないか」

 僕が言うと、インコは口を噤んだ。

 僕はインコは当てにならないものだなあ、と思い他のものに聞いてみる事にした。



「ねぇねぇ、人間ってどういう生き物なの?」

 深く広く横たわる海は答えた。

「全くもって酷い生き物だよ」

 僕はやっぱり驚いた。

「君もそう思うの?」

 海は波をぱちゃぱちゃ立てて言った。

「そうさ、人間は皆僕から生まれたんだよ、なのに僕を支配した気になっている、なんて傲慢なんだろう」

 僕は悲しくなった。

「それもそうだね、人間は酷い生き物なのかもしれない」

 僕は肩を落とした。
 他のものにも聞いてみようと海に背を向けた。



「ねぇねぇ、人間ってどういう生き物なの?」

 僕の頭の上にぼっかりと浮かぶ雲は答えた。

「全くもって酷い生き物だよ」

 僕は少しだけ驚いた。

「何で君もそう思うの?」

 雲は体をもこもこと膨らませて言った。

「そりゃあ空から見てみれば分かるさ、よーく分かるよ、あれ程醜く無様なものは無いね」

 僕は悲しくなって、言い返した。

「人間は酷い生き物じゃないよ」

 雲は不機嫌そうに体を揺らした。

「そうかい、じゃあ思い知ると良いよ」

 途端、雨が降り、風が吹き、雷が鳴った。
 僕はびしょ濡れになって、泣きながら家に帰った。



「まあどうしたの?こんなにびしょ濡れになって」

 家に帰るとお母さんがタオルで僕を包み込んだ。
 僕はその暖かさに抱かれながら尋ねた。

「ねぇねぇ、人間ってどういう生き物なの?」

 お母さんは微笑んで答えた。

「とっても優しい生き物よ」

 僕は心の底から驚いた。

「何で?」

「決まっているわ」

 お母さんは僕の頬にキスをしてから言った。

「誰かを愛する事ができるからよ」

作品名:社会的の意味 作家名:コーンのヒーロー