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コーンのヒーロー
コーンのヒーロー
novelistID. 446
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黒ネコは言った。

「この世にゃ不幸が満ち溢れてるのさ」

白ネコは言った。

「この世には幸福が満ち溢れているよ」

だから私は尋ねた。

「何故そう信じるの?」

 黒ネコと白ネコは言う。

「この世には人間が居るからさ」

「そう、人間が居るからよ」

私は首を傾げた。

「何故人間が居ると不幸で、幸福になるの?」

黒ネコは自慢げに答えた。

「人間は自分の欲に正直で、ずる賢い生き物だからさ」

白ネコは自慢げに答えた。

「人間は本能に支配されない、自由な心を持った生き物だからだよ」

私はどっちも合ってそうで、間違ってそうだと思った。

「私は不幸で幸福だよ」

黒ネコは怪訝な顔をした。

「そりゃ嘘だね、不幸ならば幸福じゃないのさ」

白ネコは怪訝な顔をした。

「不幸だと言うのは嘘だよ、本当は幸福なのに気付いてないだけだよ」

やっぱり私はどっちも合ってるけど間違ってると思った。

「あなたたちが私を不幸だろうと幸福だろうと思おうと自由だよ、だけど私の幸せは私が決めるの」

黒ネコと白ネコは失望したような顔をして去っていった。

「自分の不幸に気付かない事が最大の不幸さ」

「幸福なのに自分を不幸だと思う事が最大の不幸だよ」



黒ネコと白ネコが去っていった私の心の部屋には、私だけが居た。

 真っ白な部屋には所々落書きがある。
 白い部屋の落書きはちっぽけで鮮やかだった。

 私は部屋の隅っこに忘れ去られたように小さく書いてある、不器用で拙い文字を見つめた。

 それは、私を暖かで明るく、切なくて苦しくさせた。

 人間は眩しい太陽や暖かな闇だけでなく、時には蝋燭の火が必要なのだ。



やっぱり黒ネコと白ネコは間違っていたと思った。





作品名:I have a... 作家名:コーンのヒーロー