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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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弁当美味いな(おしゃべりさんのひとり言 その19)

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その19 弁当美味いな



うちじゃ女房が、毎朝弁当を作ってくれるんです。
結婚前からよく作ってくれてたけど、料理好きなのは間違いない。
毎晩の食卓に、10種類ものメニューが並ぶのは、ディナーバイキングみたいです。
だから家に人を招いてパーティしたりする事も多い。

これ、決して大げさに言ってないんですよ。
そりゃま、前日の残りがアレンジされて小皿に盛られたり、多少形を変えたりして出てきますけど。
本格的なケーキも、月一ぐらいでワンホール焼いてくれるし、それ半分食べても胸焼けしないように、上等な生クリームにフルーツたっぷり盛り付けてある。
スポンジに滲み込ませるシロップも、ミックスベリーとかを漬け込んでおいて、冷蔵庫にいつもある。
僕はそのジンジャーシロップなんかで、カクテルを作って飲むのが好きです。

料理の腕前はどうかというと、調理師免許持ってるから一応何でもできるみたいですけど、僕のイメージ通りの味付けをしてくれるので、すごいと思う。
海外出張でよく行ってた店の料理の味を、僕がした説明を聞いただけで再現してしまえる。
難しい料理でも、何度か挑戦した末に、かなり似せてくる。
ましてや彼女が食べたものなら、簡単に真似してみせる。
調味料や香辛料の知識も深くないと無理だろうに。

でも本音で言うと、たまにはお茶漬けでサラッと行きたい日もあるんですが、せっかくたくさん作ってくれるのでなかなか言えない。
夏のそうめんだけの時なんかでも、薬味の数は10種類くらいあるんですから。
めんつゆ以外に、オリーブオイルの入ったトマトジュースだれとか、サバ缶の味噌煮のほぐしだれとか、とにかく凝ってるんだから。

だから基本の味付けは、薄味にしてもらってる。
調味料は出来るだけ使わないで、天然だしを使う。
僕は肉より魚派、いやむしろ野菜派で、ドレッシングが嫌い。
だから素材の味を生かした調理が、うちの味付けってこと。
社員食堂のコッテリ揚げ物なんて、気持ち悪くて食べられないです。(みんなスマン!)

そして女房のこだわり、弁当には残り物を入れないんです。
20年以上サボることなく、カラフルに詰め込んでくれる。
そもそも、晩御飯の残りとか、冷凍食品とかなら簡単だけど、そうじゃなく、朝の時間に30分ほどで、ササッと作ってる。


そんな女房でも土日のランチは、作るのを嫌がるんです。
外食していろんな店を試してみたいのだ。
新しい店を見付けては、食べに行く。
繰り返し行く店の特徴は、店員の振る舞いが気持ちいいところ。
値段や立地条件じゃ決められない、何かを求めたい。
話しているうちにオーナーとも仲良くなれるし、こだわりも判って面白い。
一方、こだわりが感じられない店にはもう行かない。

でも最近はコロナの影響で、“営業自粛”と“ステイホーム”
どこにも食べに行くことが出来ないでいた。
土日も自宅で食べるしかないですけど、今まで散々料理しまくってた女房も、たまには手を抜きたいみたい。
こういう時はベーカリーでパンを買って来ることが多いんですが、それもマンネリしてしまった。

ある日、スーパーに弁当を買いに来た。
バイキング式のお惣菜コーナーは閉鎖され、パック詰めされた弁当が並んでる。
僕は基本的に、そんな弁当は口に合わない。
「安っぽさ」が売りの弁当はイヤだ。
駅弁は好きだけど、それも旅の雰囲気が好きなだけ。
それ、自宅で食べたら不味くないですか?
仕方ないからこの日、弁当を3パック買って帰ったけど、これ毎日じゃゲンナリするね。

でもこの前、あることに気付いた。
街中のレストランや食堂は閉まっていると思っていたら、お昼時には弁当販売をやってた。
お気に入りの店で弁当買った方がいいじゃない。
値段帯は500円から1500円くらいで様々だけど、お店で食べるよりかなり安くしてくれてる。
それで3つの店をハシゴして、弁当を買って回って家で食べた。

感想としては、『とても美味しい』
ちゃんとした店の料理は、弁当になっても風味でその違いがはっきり分かる。
大量にまとめて調理されるスーパーやコンビニの「調味料味の弁当」とは、違う食べ物だったのか。


     つづく