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小さなボクの 夢のような出来事

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ボクは小さな蜘蛛だった。
風呂上がりに、鏡の前で一糸纏わず、頭の上にピンクのタオルを乗せただけの女性がいた。
さっきからずーっと彼女の振る舞いを、上から眺めていたのだが、天井からスーッと逆さに降りて、いい匂いがする彼女の前髪を通過し、可愛いはずだと あの男 が言ってた眼を通り過ぎた。

キスが大好きな彼女、風呂上がりで紅が消えても、誘っているような濡れた唇に、ボクは見惚れた。自信たっぷりで、白くて形のいい二つの山を横目に、いや逆さに見て、どちらかの山の天辺に降りてみたかった。しかし、風もなく垂直に降りてしまったボク。
丁度、山の間を二三秒間、通過しただけだった。こんな時、蝿のような翅と口があったら、あの魅惑的な山の頂きに飛び移って、その辺りを舐め廻してみたかった。

ほんの数秒間の出来事なのに、妙にはっきり覚えている。山間を通過すると、広いなだらかな丘に出た。
そこには何もなかった。けれど眩しいほどの白さに見惚れた。ココに着陸したら柔らかで心地良いだろうと、そう思った。が、きっとすぐに払い落とされるに相違ない。そうなると、ボクにはサッカー場ほどの広さに見えても、彼女にとっては狭い脱衣場。優しいはずの彼女でも、このかわいいボクでさえ、踏みつける可能性もある。そうなると、せっかくお風呂に入って良い気分になった彼女が気持ち悪がるだろう。それに、踏みつけられれば、ボクもきっと死ぬ。まだ死にたくない。もっと下へ行って彼女のすべてを観たい。と、こんな緊急事態にも、そう思ってしまった。