小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

北へふたり旅 1話~5話

INDEX|10ページ/10ページ|

前のページ
 


 「踏んだり蹴ったりだな、実習生も・・・。
 となると手元に残るのは115万円。ずいぶん少なくなってきたなぁ」

 「帰国するときの土産代も馬鹿になりません。
 携帯電話やパソコンを買っていくと、30万から50万が消えてしまいます」

 「なんだい。そうなると3年後の実習生に残るのは、50万から80万だ。
 悲惨になってきたなぁ。
 いったいなんのため、汗水たらして日本で働いたんだ」

 「いまのケースは、恵まれた例です。
 最低賃金以下の時給700円や、600円で働かされたケースもあります。
 むしろ、そういう例のほうがおおいかもしれません」

 「いろいろ問題になっているからね。
 実習生をとりまく実態は」

 「ベトナム出身の女性実習生が、厚生労働省へ手紙を書きました。
 勤務時間は8時から5時、残業は5時半から9時半まで。
 そのあとも仕事があり、そのときは服を手で縫います。
 毎月の給与明細はありません。
 わたしの基本給は6万円。
 残業は時給400円。給料は月に12万円。
 ベトナムでサインした契約書では、基本給は食費別で8万5,000円でしたが、
 実際の給料は6万円です。
 ベトナムの送り出し機関に電話したけれど、電話に出なかった。
 ベトナムで契約した給料と違います。
 監理団体からは「ベトナムの会社のことはわからない」と言われた。
 道理にあわないので、この手紙を書きました。
 氷山の一角です。こんな話は・・・」

 (6)へつづく