オヤジ達の白球 76話~80話
「なによりも安全を最優先してくれと、さっき話したばかりだ。
農POの回収にも段取りが有る。
その方法を説明するから聞いてくれ」
「そりゃそうだ。50mもある農POをいっぺんにはがしたら、
とんでもないことになる。
とちゅうで風が吹いたら大変だ。
抑えようがねぇし止めようがねぇ。
下手するりゃあおられて怪我人も出るだろ」
「そういうことだ。そこでだ。
10mをめやすに切り離しながら、屋根から撤去していく。
バンドをはずし、スプリングをはずしたら、10メートル間隔で
カッターで切り離す。
切り離した農POは、折りたたんで丸める。
まるめたものは一ヶ所にあつめる
特殊フィルムは勝手に燃やすことはできない。産業廃棄物だ。
まとめて処分するから、空き地に積み上げてくれ」
「わかった。そういうことなら作業班を3つにわけよう。
まず先発隊。先発隊は、黒いバンドとスプリングをはずす作業に専念する。
そのあとを第2班が、農POを回収していく。
10mの長さで切りはなし、束ねたものを一ヶ所に積み上げる。
第3班は、むき出しになったハウスの部材を回収していく。
これでどうだ」
「おう。なかなかナイスな提案だ。
試合の時よりも呼吸が、合ってきたな。
たいしたもんだぜ、おまえさんたちは。
ただの呑んべェ集団だばかりと思っていたが、なかなかなもんだ。
おまえさんたちも」
「よく言うぜ。チーム一番ののんべぇの熊に、言われたくねぇや!」
「まったくもってその通りだ!」男たちの笑い声がいっせいに湧きがる。
(78)へつづく
作品名:オヤジ達の白球 76話~80話 作家名:落合順平