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楡原ぱんた
楡原ぱんた
novelistID. 10858
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長い付き合いだから、ね?

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彼女が蔑んだ目で見ている。が、俺は無実だ。厳密に言えば過去の俺のセンスが悪い。いまは悪いとは思いたくないのだ。そうして名付けられた漆黒の闇を吸い取ったような毛玉もじっと俺を見ているのも頂けない。やめろ、俺をそんな目で見るな。
「だって、ぺろぺろって」
言いたいことはわかる。家族も少しは止めてくれても良かったのだ。しかし実質この世話をしている母親の言い分としては「名付けも飼い主の役割。母は知らぬ」というなんとも正論をぶつけられてぐうのねもでないし、あの頃の俺に頭が痛い。
彼女が毛玉と向き合う。焦げ茶色の目と毛玉の黄色い目がかち合い、絵画のように思える一瞬だ。ああ、写真撮りたい。
「あ。いま、ぺろってした!」
「うん。だからぺろぺろ」
「安直……」
「子供だったし」
「今も子供よね」
「はい」
毛玉もとい黒猫のぺろぺろが彼女の声から逃れるように俺の足元に擦り寄る。すまないな、ぺろぺろよ。彼女は猫見たさに、うちに来ただけなのだ。不名誉なあらぬ疑いをかけられてすまない。
「別にぺろぺろしたいからぺろぺろって名前つけたわけじゃないし」
「だったらドン引きよ」
睥睨された。
少し悲しくなってぺろぺろを抱き上げれば、

「にゃあ」

仕方ないなぁ、ご主人様は。みたいに鳴くものだから、オヤツは多めにしてあげた。