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楡原ぱんた
楡原ぱんた
novelistID. 10858
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それはてるてる坊主ではない。

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世の中にはどこもかしこ、不思議な話で溢れている。事実は小説よりも奇なり。意外と作り話よりも現実の方が不思議で彩られているのではないか、とすら思う。粋は小説を片付けながら、藍海に問うた。
「民話の中でどれが好き?」
ただの興味本位である。民話でなくても良い。たまたま藍海の手の中にあったのがそれ関連の書籍だった。それだけだ。普通に小説といえばすんなり答えが返って、粋の知らない書籍を言われてしまえば「そっか」で終わるようなものである。民話なら何かしら知ってる話題があるかもしれない。……ないかもしれない。
「民話ねぇ。なら、ケセランパサランかしら」
「え、あれも民話になるの?」
「広義的な意味でなら入るんじゃないかしら。民間伝承のくくりならありじゃない?」
「なるほど。でもあれって結局は綿毛とかって話でしょ?」
「だとしても面白いじゃない? 願いを叶えたら消えちゃうとか」
「まあ、浪漫はあるよね」
笑う粋に釣られたのか藍海も微笑んで頷いた。
「綿毛に願いを叶えられる力があったのか、その人に叶えられる能力があったのか」
「後者に違いないと思うけど」
「現実って私たちが思うより不思議なものだから、ないとは言い切れないわよ?」
ドキっとした。粋は苦笑する。この全く似ているところがない友人と同じような事象に考えが至ると少し嬉しい。似ていないようで実は似た者同士または類は友を呼ぶみたいな縁を垣間見ると、それこそ不思議な話だなぁと粋は感じるのだ。
「さてさて、ヤスキヨ? 早く図書室の本を片付けたら、コンビニで新商品チェックでもしましょうか」
「りょーかーい」

夕暮れ時、空を眺めながら他愛のない話の途中。
「あらケセランパサラン」
藍海の指差した先に白くふわふわと漂うそれを発見して、「明日も晴れますよーに」なんて言っては二人で笑いあうのだった。