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【殿方専用新作落語】 ぬ……抜けねぇ…… (R指定なし)

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「そこも割っちまえばいいじゃねぇか」
「そこんとこが厚く出来てるみてぇでよ、割れねぇんだ」
「どれどれ、見せてごらん」
「大家さん、そいつぁちょっと……」
「そんなこと言ってる場合かい? 見せてごらんよ……こりゃ痛そうだな、赤黒く腫れあがっちまってる」
「どれどれ……本当だ、こいつは辛そうだな」
「徳利の首に絞めつけられて血の流れが止まっちまってるんだよ、こりゃいけない、このまま放って置いたら腐ってポロリと取れちまうよ」
「ええっ? 本当ですかい?」
「本当だとも、壊死とか言ってな、怖いものだよ……八っつぁん、玄能を貸しておやり」
「どうするんですかい?」
「ぶらぶらしてるものを叩いたって割れやしないよ、八っつぁんの玄能を下に敷いて熊さんのでコツンとやればきっと割れるよ」
「俺の玄能を下に敷くんですかい? そいつはちょっと……」
「ああ、それじゃぁね、熊さんの玄能を下敷きにして八っつぁんのでこつんとやるんだ、それなら良いだろう?」
「へぇ、それくらいなら……おい、熊、玄能出しな、それを徳利の首の下に……それでいい、やるぜ?」
「ちょ、ちょっと待った、そんなに振りかぶるんじゃないよ、割れたは良いけど中味も潰れちまったなんてことになったら洒落になんねぇ、自分でやる、頼むから自分でやらしてくれ」
「そうか? まあ、それが良いかも知んねぇな、ほらよ、貸してやらぁ」
「ありがとうよ……」
 コツン。
「駄目だ駄目だ、そんなにそっと叩いても割れねぇよ」
「わかってるよ! 今のは加減を調べたんじゃねぇか、今度は割るぜ」
 ゴツン。
「やっぱり俺がやってやろうか?」
「いいっ! 自分でやる!」
 ゴツン。
「釘締も貸してやろうか?」
「冗談じゃねぇ! 突き刺さっちまう」
「じゃぁ、思い切って打てよ、江戸っ子だろう?」
「わかってらぁ! 今度こそ割って見せるぜ」
 ガツン。
 パリン。
「ぎゃぁ!」
「あ~あ~、今のは痛そうだったな、潰れてねぇか? そうか大丈夫か、でも良かったじゃねぇか、これでお前ぇは無罪放免だぜ」
「痛ぇぇぇ……ああ、でも何とか割れた……」
「そこんとこ、血の流れが悪くなってたからね、しばらく擦っていると良いよ」
「へぇ、大家さんも色々教えて下すって、ありがとうごぜぇやす」
「これに懲りて二度とおかしなことするんじゃないよ」
「へぇ、骨身に染みましたから」
「そこに骨はねぇけどな」
「うるせぇよ、八」
「うるせぇたぁなんでぇ、さっさと玄能返しやがれ」
「あ、ああ……すまねぇ、ありがとうよ」
「じゃぁね、あたしは帰るからね、熊さん、くれぐれもよく擦っておきなさいよ」
「へい」
 大家さんががらりと障子を開けますと……。
「あ……」
 熊さんの家の前には騒ぎを聞きつけたおかみさん連中がずらりと……。