左端から見れば全部右寄り Part 2
9. 祝・蔡総統再選
少し前の話になりますが、11月末に台湾に旅行して来ました。
そこで感じたのは、台湾の方々は実に日本人に近いな、と言うことでした。
穏やかですし、親切ですし、仕事に対する姿勢も真摯で、日本人との違いはあちらの方がよりフランクだと言うことくらい。
個人レベルで「「価値観を共有するパートナー」足り得る国、国民性だなと感じました。
そんなわけで、台湾には非常に親しみを感じてまして、今回の総統選には注目してました。
結果はご存知の通り、蔡氏の圧勝でした。
で、日、米、英などは蔡氏に祝意を伝えたのですが、そこに中国が噛みついています。
……何と言うか、器が小さいなぁと感じます。
まあ、実際のところは蔡氏に祝意を伝えると言うことは台湾国民の選択を追認すると言うことになるから……そう言うことなのでしょう。
つまり、中国は台湾国民に選挙権すら認めたくないようです、完全に自国民扱いですね、そしてそれを他国にまで強要しようとする……何様なんでしょうか。
日本は未だに台湾を独立国家として扱っていません、国交もないままです。
ですが民間レベルではどうでしょう? 日本から台湾へ、台湾から日本へ、どちらも大人気の旅行先であり、互いに好感を抱き合う関係です。
東日本震災の際、台湾から多額の義援金が寄せられたことも記憶に新しいです。
政府が台湾を独立国家と認めていないのは中国との関係にひびを入れたくない、それだけなのではないかと思います。
この四月ごろ中国の習主席を国賓として招くことになっていますが、私は反対です。
香港で起こっていることを考えれば、日本は弾圧を容認する国だと世界に示してしまうことになってしまうからです。
台湾の総統選挙結果に香港での弾圧が反映されていることはまず間違いないでしょう。
香港の二の舞になることを拒否して中国と距離を置こうとした台湾。
香港との『一国二制度』の約束を反故にして弾圧した中国。
前者を軽んじて後者を重んじる姿勢は容認しがたいのです。
先日、河野防衛大臣が明らかにしたところによると、大臣が北京を訪れた際に先方から『国賓としての訪問が有意義なものになるよう、日本はしっかり世論をコントロールする必要がある』と申し入れられたそうです、もちろん大臣は突っぱねたそうですが、『世論をコントロールする』とはいやはやなんとも……。
私の感覚では、世論は民意の現れ方の一つであり、世論を味方につけるために努力する必要はあってもコントロールするものではない、出来るものではないと思うのですが、中国ではそうではないようです。
台湾の総統選挙でも中国の干渉があったと言われています、どうもあの国では他国の選挙結果でさえコントロール可能なものと捉えているようですね。
日本の安全のためには中国とうまく付き合って行くことは必要不可欠なことなのだろうとは思います。
しかし、言うべきことは言う、すべきことはする、そう言った対等な関係を保って行かなければ、いずれ中国は日本を飲み込もうとするでしょう。
「まさかそんなことはないだろう」お思いになる方も少なくないと思いますが、中国は内モンゴル、東トルキスタン、チベットなど飲み込んだ前歴があるのですよ、そして香港での弾圧と台湾総統選挙結果への不満の表明……飲み込む気満々でしょう?
そもそも日本が欲しくないはずがないのです、人口1割増しで経済規模は2倍近くなるんですからね。
強いものが弱い者を支配する、この世界はその原則から完全に離れることはできません、人間に『欲』と言うものがある以上は……奇麗ごとでは済まないのです。
平和は誰もが願うこと、ですが平和、平和とお題目のように唱えたところでそれは実現しません、平和とは軍事バランスの上にかろうじて乗っかっているものだと私は考えています、軍事費を増大させ続けている国があることはそのバランスが崩れる可能性があると言うことなのです。
作品名:左端から見れば全部右寄り Part 2 作家名:ST