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玉手箱

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浦島太郎という漁師は、子供達が亀をいじめているところに遭遇。その亀を買いとって保護し、海に放流してやる。2、3日後、亀が現れ、礼として太郎を背に乗せ、海中の竜宮に連れて行く。竜宮では乙姫が太郎を歓待。三年経って太郎が帰る意思を伝えると、乙姫は「決して蓋を開けてはならない」としつつ玉手箱を渡す。太郎が亀に乗って元の浜に帰ると、太郎が知っている人は誰もいない。太郎が忠告を忘れて玉手箱を開けると、中から白い煙が発生し、太郎は白髪で皺老人の姿に変化する。

 太郎はしわしわになった両手を見ながら、しばらくへたり込んでいましたが、やっと立ち上がると、弱々しくこぶしを固めながら、後にしてきた竜宮のほうを向きました。
 すると、どこからか声が聞こえてきました。
「たったあの程度のことを素晴らしい善行、見返りとしてあれだけの歓待が得られる善行だと思っていたのか。大の大人が子供たちを買収したあれが」
 太郎はキョロキョロしますが、声の主は見つからないまま、それは続きました。
「あれだけの歓待を求めるなら、大業に挑みなさい。おまえは今はまだ若いが、人生はあっという間なのだ」

 太郎が気づくと、子供達が立ち去っていくところでした。亀も人語等話すわけも無く、太郎を振り返ることも無くただ海へと向かっていきました。

(了)
作品名:玉手箱 作家名:Dewdrop