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根岸 郁男
根岸 郁男
novelistID. 64631
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ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん

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タイトル
 ぴっちぴっちちゃっぷちゃっぷらんらんらん」

登場人物

メグ(3歳の女の子)
ママ(声のみ)
パパ(声のみ)

○ メグの家(夜)
室内の照明はローソク三本の明るさ。
 小さいローソクが3本たてられたケーキには「3歳おめでとう」と書いてある
 うれしそうな表情のメグの顔、両手にピースサイン。
メグ「うわぁーやったー」
パパ、ママの声「ハッピーバースデー、ツーユー。ハッピーバースディーツウユー、ハッ
ピバースデー、ディアー メグ、ハッピーバースデイ、ツーユー」
パパの声「メグ、お誕生日おめでとう」
ママの声「何歳になったんですか、めぐちん?」
めぐ「(ニコニコ笑いながら、指を3本突き出して)3歳!」
パパの声「めぐ、3歳のお誕生日おめでとう。はい、お約束の赤い傘。」
   パパ、紙袋にはいった物をわたす。
ママの声「ママからはこれね。赤いレインコートと赤い長靴」
   めぐの前に差し出された二つのプレゼント。うれしそうな表情のメグ。

○メグの部屋
パジャマの上から赤いレインコートを羽織り、赤いい長靴を履き、赤い傘を広げる。
肩に担ぎ、くるりと一回りをするメグ。
非常に楽しそうだ。
めぐ、突然気が付いたように窓際にいく。
窓から外を眺めるメグ。

○ 外・夜
  小ぶりの雨がっている。
  小さな灯りが漏れているメグの家の小窓。
  メグが部屋の窓から外を眺めている。
  メグ、にこにこ微笑んでいる。
  メグ、窓から離れる。
  室内の灯りが一瞬暗くなるが小さな灯りが洩れている明るさに変わる。

○ メグの部屋(夜)
毛布の上には赤いレインコート、赤い傘が置いてある。
小さな灯りに照らされたベッドの中のメグ。
赤い長靴を抱きしめて眠っているメグの寝顔。
メグ「(モノローグ)あしたも雨がふりますように…」

○ 近くの公園 午前
 タイトル「6月中旬」

  どこまでも青空が広がっている空。
  ポプラ並木がさわやかな風に揺れている。
  風で触れ合う木々の隙間から光が差し込む。
  整理されたアスファルトの歩道。緑の公園が広がっている。
  公園らしく子供たちがあそべる遊具があちこちにある。
  数人の子供たちが母親と同伴しながら遊んでいる。
  遠くの方から赤い靴、赤い傘、赤いレインコートのメグがスキップしている。
  公園の遊具であそんでいる子供たちがメグのほうを見ている。
  子供たち、メグの方を指さして笑っている。
  メグ、突如、ピタリと止まり空を仰ぐ。。
  澄み切った青空。
メグ「雨が降んないかなぁ。このままじゃつまんない」
  メグ、スキップしながら蛙のモニュメントを通りすぎる。
  メグ、はっと、立ち止まり、何かに気が付いたように振り返る。
それは蛙のモニュメント。大きな蛙の上に小さな蛙がのっかってさらにそう上に小さ
な蛙が乗っかっている。
メグが蛙のモニュメントと立ち向かうと目線が二番目の蛙の顔と合う。
  メグ、蛙のモニュメントの前で掌を合わせる。
メグ「蛙さん蛙さんそして蛙の神様、どうかメグのために雨をふらしてください」
  メグ、ぱちぱちと手をたたく。
  メグ、片目を開け、空を仰ぐ。
  どこまでも澄み切った青空。
  メグ、蛙のモニュメントの脇に座り両手で頬杖をつく。
  メグ、そのまま、蛙の方を見る。
  前を向いている蛙のモニュメント。
メグ「あれぇ」
  メグ、しゃがんだまま、正面から蛙の方と向きあう。
  ひょうきんな顔の蛙の顔。
  メグ、ふふふと笑う。
メグ「そうだ、カエルさん、にらめっこしようか」
メグ「カエルさん、カエルさん、にらめっこしましょ。変な顔するのだーれだ」
  メグ、両頬を膨らまし思いっきり変顔する。
  ひょうきんな蛙の顔。 
  メグ、ぷう、と笑い出す。
メグ「私が笑っちゃダメなんだ。やーめよ」
  メグ、再び両手で頬杖をついて地面をみる。
  どこからか蛙がぴょんぴょん出てきてメグの前で止まる。
  興味を示すメグ。
  メグが捕まえようとすると蛙がぴょんぴょん逃げていく。
  昨日降った雨でできた水溜りがあり蛙がそこに逃げ込む。
  蛙泳ぎをスイスイーっとする。
  水溜りに水滴が零れる。
  水面に波紋が広がる。
  水溜りに映し出された青空。
  青空が、見る見るうちに白雲に追われていく。
  メグ、空を見上げると今まで青空だったがグレー色の雲が青空を覆い隠していく。
  みずたまりに雨が降り注ぎ白い雲さえかき消され水面に波紋が広がっていく。
メグ「雨だ。メグのお願いを聞いてくれたんだ」
  メグ、傘をバッと広げる。
  メグの傘が地面に赤く映える。
  その傘に向かって雨が降り注ぐ。
  雨水を跳ね返す傘の表面。水しぶき。
  メグ、スキップをする。
メグ「ぴっちぴっち、らんらんらん」
  メグ、傘を高く上げたり下げたり、自分自身が回ったり、横に走ったり体をかえて又
横に走ったりと雨の中を走る喜びをメグは表現している。
  自分の足元を先ほど蛙がぴょんぴょんと横切る。
  メグ、立ち止まる。
  蛙、アジサイの花にジャンピングして花ビラに飛び乗ろうとしている。
  メグは少し屈んだ状態で観察しはじめる。
  蛙、ジャンピングに失敗しひとつ下の青い葉に落ちる。
メグは蛙をつかまえて紫陽花の花の上に持っていてあげる
  乗っかった蛙。
  真近でみるメグ。
メグ「ガンバッテ」
  メグは再びスキップをしはじめる。
  メグの楽しそうにスキップしていく姿が公園の歩道で徐々に小さくなっていく。
  小さな体を覆いつくように降りかかる雨、雨、雨。
  やがて雨の飛沫にかき消されて見えなくなってしまうメグ。
  メグの赤い長靴が立ち止まっている。
  メグ、小さなため息をつく。
メグ「ふう!」
  メグ、後ろを振り返ってみる。
  景色が見えないほどの雨。
  メグ、前に向き直る。
  これもまた景色が見えないほどの雨。
  また小さくため息して
メグ「ふう、メグ、飽きちゃった。おうちにかえろうっかなぁ。あっ、そうだ。」
  メグ、今来た道を小走りに引き返す。
  雨にぬれている蛙のモニュメント。
  メグの傘がはいると蛙の顔が赤く染まる。
メグ「お願いがあって戻って着ちゃった」
  メグ、傘を肩にかけ、両手を合わせ目を閉じる。ぶつぶつ唱えている。
  メグ、片目を開けてみる。
  蛙の顔。
  メグ、再び目を閉じてぶつぶついう。
  雨の中に佇む蛙のモニュメントとメグの全身像。
  周囲の樹木がざわざわと揺れだす。
  目を閉じて合掌しているメグ。赤い長靴。赤い傘。
  紫陽花の葉に隠れていた青蛙、ちらりと顔をのぞかせ地面にジャンプする。
  メグの前をぴょんぴょんと跳ねていく蛙。
  メグの赤い靴に飛び乗る。
  メグ、気付き、片目を開ける。
  にこっと微笑むメグ。
  メグの足元に降り注ぐ、雨。
  次第にぽつりぽつりやんでいく。
  メグの傘に降り注ぐ雨、次第に止んでいく。