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「季節、」
今、空を見上げて思うのは
一体いつのことでしょう
夏の草の冷たさか
秋の夕暮れの美しさか
空は澄んで冬を残して
風が吹けば雲が行く
雲の切れ間に見えるのは
絶対、あの季節のことでしょう
残雪よ、そこの花を枯らしなさい



「花瓶の破片」
生きよう、思いが先に言葉が後に
枯れた花瓶は捨てなければならない
割らずにそっと
代わりに紙に絵を描く
あの時の、あの色を
記憶が塗り替える前に、思い出すのだ
描く残りがなくなって
花瓶はすっかり枯れてしまった


「風立ちぬ(私なりの)」
どこへゆくにも風はついてくるのだ、だから生きねば
生きねば風が風でなくなる


「時間」
陽にあたりすぎて
花は焦げてもうすぐ
生きようとしていたのだ
それがどうして悪いだろう
生きようとしているのだ
どうか、風よ止まってくれ


「夕闇」
夕暮れが見える
波の音がほら、空を遅くさせる
ここにいること、ここにいたこと
夕暮れがぜんぶ隠して闇に託した
朝日まではまだ、まだ生きられる
生きようとしなければ
生きたいと思わなければ
生きること、生きたこと
誰か、ちょっとだけ隠してやくれないか
それしか生きる術が見つからないのだよ




「起床」
例えば夢を見て
起きなければならないと強く思う
こいつは
生きなければならない
ということと同じだろうか
私は
私は生きたいと思っている
私が生きながら夢を見ている
儚い、波の行方に



「いのち」
ここにいるために
そこにいるために
私は生きなければならない
死んでみようか
私はどこにいるのだろう
ここか、そこか、
どこに私があるのだろう


「望遠鏡」
夕日が見えるかい
それは素晴らしい
私には眩しすぎて見えないのだよ
生きながら、どこも見ていない
私は今、生きているのだろうか
夕日が見えない、けれど私はそれを見ている




作品名: 作家名:晴(ハル)