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あめのみやつこ
あめのみやつこ
novelistID. 67429
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いつか死ぬのだから

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人はいつか死ぬ。百年後、今生きている人の大半はこの世から去って誰もいなくなる。今いない新しい人たちで世界は埋め尽くされる。今存在している人は跡形もなく消えていなくなるわけだ。これは自然の摂理であって誰にもどうすることもできない。
それなら今生きている意味は何? こう、私はありとあらゆる人に問いかけてきた。この問いは、私にとって終わりなき命題であった。
小さい頃は両親に、少し大きくなったら学校の先生に、高校では同級生の友人に、大学に上がった時には親しくなった若い准教授に同じ質問を投げかけた。
今まで誰一人として、この問いかけに納得できる回答を与えてくれた者はいなかった。
ほとんどの人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔で「そんなこと考える必要あるの?」と言うようなことを言った。
ある人は「自分たちは生まれ変わる」ことを信じきって語っていた。まあだいたいの人は輪廻転生を前提に語った。
だけど無理はない。生まれ変わりがないとしたらその人に行き場がないのだから。
 あれは小学校に上がったばかりだったから、六歳頃のこと。この歳になるまで私は漠然と「人は死んだら生きかえる」ものだと認識していた。
 ある時、故人であるテレビタレントの追悼番組を家族で見ていた時のこと。高いところにある祭壇の、さらにもっと高いところにある大きな遺影を取り囲む大勢の弔問客がすすり泣く映像をみて、私は不意に「何でみんな泣くの」と母親に問いを投げかけた。
「どうしてって、死んだら人は生きかえらないからでしょ」と母親は言った。
 人は死んだら生きかえらない。
母親の言葉から幼少期の私がショックを受けたのか、そうでないのかをあまり覚えていない。たぶん、俄かには、その意味するところを認識できなかったのではなかったか?
死んだ人が生き返らないのであれば……それ以上のことを、私は考えなかったのだと思う。意識が、まだ自他未分の状態だったのだろうか、この時は、ただ、母親の言ったことを聞き流したに過ぎなかった。