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浜っ子人生ー朋友(同志の友)の訃報

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晴れ渡った夏の朝、愛犬の散歩から戻ったばかりの時に電話が鳴った。
首都ワシントンに住んでいる朋友(同志の友)の息子さんからだった。今まで数えるほどしか電話が無かった人からだけに悪い予感がした。案の定、
「親父が脳溢血で土曜日に亡くなりました」
という知らせ。

 今まで経験したことのないショックが体中を走った。
奥さんを亡くしてから一人住まいだった彼は、いつも健康に注意して元気一杯だった。今年初めには電話があって、
「おーい、今年もそっちへ行くぜ」
と元気な声が響いて来たのに…….と思うと、とても信じられない訃報だった。しかも自宅で倒れ、翌日エアコンの修理人が来た時に発見、救急を呼んだが大量の出血のため脳が萎縮し昏睡状態だったと言う。

 人間死ぬときは一人とは言うものの、なんという寂しい死に方、さぞ寂しかったろうと思うと、いても立ってもいられない悲しみに包まれた。

 彼は私と同い年、40年来の友達でカナダに赴任してきた当時は、私が英語の手ほどきをしたり、逆に水産のずぶの素人だった私を一から導いてくれた奴だった。新しくできた子会社のスタートで二人はてんてこ舞いをし、なんども出あった難しい局面を一緒に切り抜けた。

 奥さんとカナダを訪問したり、またワシントンに住む息子さんと我が家を訪れたりもした。共有する経験を重ねた私達は正に無二の朋友だった。傍で聴いていたら喧嘩でもしているのではないかと思われるほど、お互いがズケズケとモノを言い合ったが、彼の道弁と私の横浜弁で気持ちが十二分に通じ合える奴だった。

今回の訃報の僅か2週間前に、私が実の弟とも思っていた人が胃癌で65才の人生を終えた。私の良い加減な人生経験にひたすら耳を傾け、
「僕も頑張ります」
といつも言っていた彼を失って半月、今度は無二の朋友が冥府へ旅立って行った。私にとっては正に「往復ビンタ」である。

 「生涯現役」と決めている私だが、相次ぐ身近の人々の死に直面し、自分がいつまでも元気でいられると力んでいることに気付かされた。死は人を選ばないし、それがいつ襲ってくるかも絶対に判らない。人間が絶対に避けられない死というものと真剣に向き合い、自分の生き方を見直さなくてはと思い始めた。

 朋友達の死はとてつもなく悲しいが、彼らの死が私に教えてくれたことを、謙虚にかみ締めながらこれからも一歩一歩生きて行こう、其れこそが彼らが私に呉れた数々のご恩へのお返しだと思っている。

                   (完)