『 ストロー作っちゃダメなんて誰も言ってないよ 』
真剣に悩むことが、常に何にもつながらなくて空しいような気はしたが、ストローを使うな、という国が現れるとは思いもよらないことだった。同じアジアン思考でその発想はどうなんだ?わざわざ棚から長いコップとストローを取出し、バナナセーキを飲んでやった。アジアンは安いから、と俺は少し恥ずかしくなった。そして、やはり昔からストローというものはあったのだろうか。例えば、木の筒とかをプラスチックで作ってみようとかっていうことを照れもせずに実行した奴は勇気あっただろうが、そんな単純なことで金持ちになる奴がいるってことが、複雑だった。人の作った物を手に入れるのには、何をしても金を出す側だから、とあたりを見回してみる。空き缶が目に入る。うーん、確かに薄いし軽いし、スグレ物だ。そういえばもう、そういう物ばかりが店とかに並んでる様な気がした。スーパーの物の入れ替わりと同じく、人もそうやって入れ替わっていくんだろうか。ひどくユウウツになった。定番は、少しも型を変えることなく、年を取るわけでもなく、陳列している。俺は初めて、人じゃない製造された物とかを、うらやましいと思った。誰もストロー作っちゃダメなんて言ってない、って言ったって需要はどこまでも続くかわからないじゃないか。俺の悩みは明日も続く。
作品名:『 ストロー作っちゃダメなんて誰も言ってないよ 』 作家名:みゅーずりん仮名