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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~上

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 保線小屋の中だった。灯りを小さくしたランプが天井から下がっている。隣ではマルカが軽い寝息を立てていた。暖野は小さく息をついた。
 また、夢を見た。
 だが、今回はこれまでとは随分と違ったものだった。
 前は確か、進学せずに就職しようとしていたはず。だが、今見た夢は大学のようだった。
 暖野はマルカを起こさないようにそっと起き出し、外に出た。
 空には満天の星空。月は出ていない。鳥肌が立つような美しさだ。
 そうね――
 風が流れる。
 こんなんじゃ、私の想いなんて、埋める隙間もない――
 はっと、我に返る。
 私の想いって、何――?
 でも、うん――
 確かに、こんなに星がいっぱいなんだもの――
 甘い感傷に浸りながら、彼女は空を眺めていた。
 一陣の風が吹き過ぎ、暖野は身震いした。
 起きるにはまだ早過ぎる。もうひと眠りしようと、暖野は小屋へと戻った。