久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~上
「じゃあ、もう授業始まるから。また後で電話するね」
「いいわよ、そんなに――」
何度もかけてこなくてもと言おうとしたのだが、すでに通話は切れていた。
「まったく、せっかちなんだから」
時間を見てみる。1時22分。よく眠れたせいか、いくらか体は楽になっていた。幸い、厄介な夢にも悩まされずに済んだ。
朝方見た夢の現実感はかなり失せていたが、未だに胸に何かがつかえているような感じは残っていた。
その日一日、暖野は寝たり起きたりして過ごした。それが良かったのか、翌日にはほとんど熱は下がっていた。たった一日でこれほどまでに回復するものなのかと訝しくなるほどだった。
熱が下がると、それまで麻痺していた感覚が戻ってくる。大量に汗をかいたあとの体は、酷く不快だった。
作品名:久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~上 作家名:泉絵師 遙夏