おしゃべりさんのひとり言【全集1】
その65 報連相
「遅刻します」
それだけLINEして、昼から会社に来る人。
都合の悪い事には一言だけ入れといて、あとは無視。既読にもならない。
仕事上、メール見てない奴は許されないって感じだけど、LINEだったら「気付きませんでした」だって?
友達とか身近に、こういう人っていませんか?
しかしよく考えたら、『LINE』って便利ですよね。シンプルだから、誰もが利用しやすい。
僕もよく使うし、他愛ない連絡には欠かせなくなったけど、仕事上では疑問を感じることもあるんです。
履歴で約束時間を確認したつもりが、サラーっとスクロールさせちゃって、古い情報見て間違える人がいたり。
・・・おおー残念!
仲のいい社員同士だけでグループを作って情報伝達したものの、完結せず途切れて、後は知らん顔されちゃうと、実際の組織の上司は気付かないままなんてことも。
・・・ううー無念!
「急いで回答をくれるように、先方に連絡して」って指示したのに、なかなか返事を報告に来ない。連絡したのか尋ねると、「(相手が)まだ既読になりません」だって。
・・・ああー無能!
仕事上、報告・連絡・相談(いわゆる報連相)は、必須。これ当たり前。
でも出来ない人が多い。なのにLINEは、やたら使いたがる。
会社でLINEでの情報伝達の難しさを実感してるけど、発信者の問題? 受信者の問題? 伝達手段の問題?
僕も最近、直属の部下が増えて来て、50人を超えた。こんだけの人数を面倒見るのは、初めての経験。
その全員が、それぞれどんな業務で、どんな人間関係の中、どんな問題を抱えて、何を目指してるのか、その進捗を把握するのさえも、もう不可能。
売上しか見ていない社長にうんざりしてたけど、その気持ちも解かる気がする。
僕はいろんな仕事を経験してきた実感から、いつでも情報伝達は抜かりなく行いたい。それには・・・。
今月出せる売上を来月に回さない。今週の予定は今週中に。今日出来ることを明日にしない。今出来ることは今すぐに。
ピッと思えばパッと動く。(ピッパの法則)
でも一人でやってもあまり効果ないな。
早く結果を出すには、ネットワークとコミュニケーションの重要性はよく理解しているつもり。
それで、ネットワークって言われて、あなたはどんなものを想像しますか?
この場合のネットワークとはWEBネットのことじゃなくって、チームワークとフットワークのことを差すんだけど。
つまり人間関係をどれだけ築けているか。
相手と持ちつ持たれつ、こまめに面倒を見てあげるとか、しっかり見た上で評価してあげるとかってことが大事だと思う。
でも最近は様子が変わって来て、このネットワークをインターネットのことと捉える人が多い。
「ネットワークを駆使して・・・」
だから、WEBを通して何かするだけでOKだと勘違いしてるのかな。
結果を回収出来なくても、やるだけやったと思ってるみたいだ。
でも10人とか20人くらいなら、僕が一人ずつ確認取って、という面倒も可能だったけど、それを中間管理職に任せると、不十分な人もいる。
メールで情報を放り投げただけで、反応を受け取ってなかったり、ましてやLINEグループに流しただけとかで、あまり意味をなさない。
取り敢えずLINEで投げとけば、報連相やったフリが出来てるつもりなんだろうな。
それでもうちは、まだまだ増員が必要な状況。
最近のコロナ渦では、休業や派遣契約解除が当たり前。
逆に求人広告を出していると、応募者の対応にも手が回らないくらい忙しかった。
普通、求人に応募してくる場合って、WEB上の求人サイトに入力するか、直メール問い合わせが主流だったと思うけど、最近ではLINEも当たり前になっている。
就活中の大学生は、むしろLINEがメイン。
アルバイト程度の感覚で、応募銃を乱射してるんだろうか。投網のような感覚で引っかかる企業の中から、気に入ったのを選ぶつもりなんだろうな。
うちにもLINE応募が次々来るけど、みんな「面接希望」と言うワードを含めた短文。
簡略化し過ぎてて、相手の情報が何も分からない。
この前見学に来た人は、女性だと思ってたら男性だった。名前だけじゃ判らない場合もある。
せめて何が得意とか、大学名や専門分野だとか、志望理由とか情報入れてくんない? 君たち同様、こっちも選びたいからね。
こちらとしては印象に残らないLINEは、申し訳ないけどこの時点で面接候補から落としてしまう。
だって、LINEなんかでやり取りしてたら、それだけで一日終わっちゃうもの。
メールだとこちらの事情も長文説明出来るけど、LINEじゃ面倒で、個別に返信繰り返してられないんだ。
結果、僕もやっぱり既読無視しちゃう。いや既読にもしないで無視しちゃう。ごめんね。
今年は会社説明会も中止で、オンライン面接。しっかりした会話なんか出来やしないよ。
心構えがまだ出来てない人が、オンラインに登場しちゃうんだ。普段着で。
画面の向こうで黙ったままの人が多くて驚き。こっちがしゃべり続けて、「採用」と言ってもらうのを待ってるだけの人が多い。
なんとか質疑応答を進めて、通信を切ったとたんに「ハァー」っとため息ついて、達成感が全くない。
もし、これで入社した新人は、本当に『報連相』出来るんだろうか?
会社側がこんな方法で新人を選抜するようなことしてるんじゃ、実際に顔を合わせた時のこと考えると、心配になってしまう。
そこへ来て、どんな相手なら安心出来るかと言うと、確実なのは初めに電話を掛けて来た人だ。
もうその時点で心構えが違う。
20年くらい前なら当たり前の連絡手段なんだけど、掛かって来た電話は無視するわけにいかないし。
きっとLINE応募したのに企業からの反応がなくって、一歩踏み込んで行くバイタリティがある人なんだろう。
相手が自分の気持ちを説明しなくても、うちを選んでくれたのが解る。その積極的な姿勢は、入社後の仕事でも生かせるだろう。
結果、オンラインで面接してみると熱意もあって、社交的な人柄だったってことが多い。
こういう人は必ずリクルートスーツで登場する。
このプロセスの後、実際に会っても、笑顔で「やっと会えた」って言えそう。
もしあなたが職探ししてるなら、まず電話してみ。話がトントン拍子に進むと思うよ。
でも気を付けてないと、そのうち「直接電話してくるなんて失礼」って感覚の時代が来るかもしれない。
だって今のコミュニケーション苦手な人ばっかりが、将来の偉いさんになるかもしれないしね。
作品名:おしゃべりさんのひとり言【全集1】 作家名:亨利(ヘンリー)