おしゃべりさんのひとり言【全集1】
その55 周囲を見る目と周囲の目
人は人を見て学んでいけるのに、周りが見えてない人は学べないのかな?
中にはアドバイスを全く聞き入れない性格の人もいるもんです。
意地になって拒否するんじゃなく、自分に必要なアドバイスだって、全く気付いてくれないんだ。
僕の言うことが、必ずしも正しいとは限らないことは、肝に銘じてる。
でもそれを、面白エピソードを交えながら話すと、みんな聞いてくれる。
「だから、そうなのか」という納得につながるんだろうね。
これは実際に経験がないと、そんなエピソードは語れない。
逆にうまく行った経験のない人が、こうだって決め付けて話すと、聞く方は納得がいかないでしょ。
みんなで協力した方がいいのに、そこがうまく出来ない人には、周囲から不満の声が上がって、僕も気を揉んでしまう。
会社にもそういう心配な人がいて、自分が興味のあることには、可笑しいくらいに必死になれる。
それを推奨しすぎて、周囲がドン引きなんてこともあるんだ。
↓この時は本当に可笑しかった。
そんな人が食堂でランチを食べてる時に、会社のパソコンをもっと高性能にしようと言っているのが聞こえて来た。
僕も一応、そのパソコンの用途とスペックは気になるところだけど、決済を取ろうにもそう簡単にはいかない案件だな。
その人は普段から、パソコンの話とホンダ車の話くらいしかしない偏った人。
いつも同じ話題だから、僕も日頃、この人の私生活はどんなんだろうって思ってた。
この時もどんな主張をするのか興味が湧いて、聞き耳を立ててみると・・・。
!おっと。まず前提として、市販PCの性能は、ここ数年間はあまり上がっていないんです。
つまり3万円程度の中古PCでも、最新スペックの中堅クラス(10万円前後)と遜色ない。
しかも、仕事用に設置してるPCは、元々ハイスペックなもの。
それを買い替えるくらいなら、タブレット端末を追加購入したい。今はそういう時代。
この人は、どんなふうに高性能化しようってのか想像が付かない。
「うー、タブレットは文字入力が不便だから、効率が悪いし好きになれないなぁ」
外付けのキーボードもあるのに、その人はタブレットの普及が気に入らないようだ。
「タブレットで資料や書類は作らないから大丈夫ですよ。スマホでも出来る単純作業だけですし」
彼の上司に当たる人が受け答えしてるんだ。
「うー、一つの端末で、資料も作れた方が便利なんだけどなぁ」
「それをPCで作って、共有サーバーに保存しとくから、どこからでもタブレットでアクセス出来て、効率が上がるんじゃないですか」
「うー、本音で言うと、そのネットワーク接続も気になるんだよねぇ」
「関係者はWiFi接続できますけど、それのどこが気になるの?」
「うー、通信速度」
「サーバーからのダウンロードに、1分かかるようなデータってないですよ」
「うー、それでも10秒かかったりするのもある。それを瞬時にできるようにしたい」
「・・・なんで?」
「時間がもったいない」
そんな会話だった。
こんなふうにパソコンの性能に、やたらこだわる人なのか。
「普段、どんな使い方してるんですか?」
「家じゃ、自分用、嫁用、小中学の子供3人にデスクトップパソを1台ずつ・・・」
デスクトップパソコンは場所を取るのに、リビングに長机設置して並べてるそうで、さらに寝室と和室にも設置。子供部屋にも勉強用のノートパソコン(こっちはほとんど使われてなさそう)があるんだそうだ。
結果、奥さんはアニメ見る用。子供たちはゲームする用。自分にはそれらのソフトをダウンロードして、エンコード(再フォーマット)する用。(ん? それ違法じゃない?)
違法ソフトは無料でネット上にあふれてるけど、少しの月額で使い放題の正規サービスもいっぱいあるじゃない。そっちの方にお金かけたらいいのに。
家中のパソコンはネットワーク接続して、個人でサーバーまで設置。自作のパソコンでやってらっしゃる。
挙句は、町内の自治会館にまで、保存データを見に足を運ぶのが面倒だからって、そんなネットワークPCを置くよう、会合の度に熱弁を揮うって話も以前聞いた。
個人の範囲だったらいいんだけど、周りにもそれ求められたら話は別だよ。
作品名:おしゃべりさんのひとり言【全集1】 作家名:亨利(ヘンリー)