おしゃべりさんのひとり言【全集1】
中学ではバスケ部に入った。
僕は音楽系のクラブに入ってほしかったんだけど、僕が元バスケ部だったから、興味があったみたいだ。
一緒にパスの練習とか出来てよかったけどね。
でもキャプテン目指してたみたいだけど、小学校からやってるすごい選手がいて、副キャプテンにしかなれなかった。
悔しがってたのは、僕が中学の時にキャプテンしてたから、負けたくなかったんだね。
そこでの勉強はと言うと、恐ろしく難しいみたい。
たまに「教えて~」とやってくる。
僕は大学時代に、中学生相手の塾講師のバイトをしていたことがあるんで、大体の勉強を見てやれる。
でも、意地にならないと解けないような数学サイエンスっていう科目や、英語ディベートの練習で、英語を話す姿を見ると、スゴイ学校だなって思う。
成績は中のちょと上くらいで、伸び悩んでるけど、実は今、塾に行ってない。
他の生徒さんは、ほとんど塾通いしてるんだけど、うちの子は通学に電車で45分もかかるから、塾通いが難しかったりして可哀そう。
でも、高校に上がったら、多少夜遅くても通わせようとして、今、いいところを入塾体験で探してるところ。
絵を描くのも好きで、ipadでイラストをいろいろ描いてるみたいだ。
たまに見せてもらうと、僕のタッチに似ていた。
そうか、僕が仕事で描く絵を見て、真似てたんだな。
僕の絵の仕事を手伝わせても、まるで僕が描いたみたいに違和感ない仕上がり。
「スマホのケースが欲しいけど、かわいいのがないから、自分でデザインする!」
「どうやって?」
アプリで描いたら、それをスマホケースにプリントしてくれるサービスがあるらしい。
(へえ)って思って、あまり気にしてなかったら、先日、すごいイラスト描いてた。
僕の趣味とは全然違うけど、本作その30の扉絵⦅30話目、個別投稿ページ参照⦆がそれ。
本当に娘が一人で描いたんです。
友達からも注文が入ってるそうだ。
今年、新型コロナで自宅待機が多くて、暇だったから、ギターが欲しいと言い出した。
「どうやって練習するの?」
「You tubeで」
(そんなんで出来るのかな?)
僕は部下のギター女子に相談したら、
「女の子だったら、弦の柔らかいクラシックギターがいいですよ」と言われたので、娘に勧めると、
「アコースティックがいいの!」
それで、“ハミングバード”って言う、すごく女子力高めの赤っぽいギターを買ってやった。
友達もギター始めたそうだけど、練習用のシンプルなギターばかり。
結果、飽きちゃってもう誰も練習してないらしいのに、娘は「この子(ハミングバード)を弾きこなせるように頑張る」って、指の痛さに耐え続けてた。
それが最近、自室から心地よい音色が響くようになってきたんだ。
誰にも教わらず、自力でもうそこまで!
たどたどしいけど、癒される~。
こんな娘の才能が恐ろしい。
でもまだ彼氏がいないんだ。
考え方や行動は大人になったのに、まだパパっ子で僕になついてる。
反抗期がなかったから、妻がヤキモチ焼くくらい、父娘ずっと仲良しなのだ。
普通のお父さんは、娘に男が近寄ることを嫌うらしいけど、僕は全く正反対。
早く彼氏を見付けてほしい。
僕は知り合いとは、家族ぐるみでお付き合いすることが多いんだけど、そこの娘さん達も小ちゃい頃から知っていて、だんだん大きく成長する姿を見続けてきた。
今、そんな子たちとも飲めるようになって、産んだ赤ちゃんを抱かせてくれたりもする。
その子らが中学や高校生だった頃、僕に彼氏の話をしてくれてた。
本当に嬉しそうに言ってくるのって、可愛くて仕方なかったんだ。
「お父さんには内緒!」だったらしいけど。
本当に嬉しそうに話してたので、うちの子にも早くそんな思いを体験させてやりたいって思う様になった。
これは親バカか・・・?
作品名:おしゃべりさんのひとり言【全集1】 作家名:亨利(ヘンリー)