空のメッセージ
あなたは私がいなくなっても、そのことには気づかないでしょう。
あなたはいつも私の前にいながら、わたしをその瞳の奥までは入れてくれませんでした。
あなたはいつも遠くを見ていて、私を透かしたその向こうばかり見ていて、すぐ前にいる私を見てはくれませんでした。
あなたが見ているものは、いつも私を通り越したずっと後ろで、私はついにそれを見ることもできませんでした。
あなたにとって私は、その向こうを見るためには邪魔な存在でしかなくて、むしろいなくなった方がいいと思っていたのでしょう。
それでも私は、いつかきっと私を見てくれると信じて、笑ったり拗ねたり、気を引こうとしました。
あたたはそれに笑ったり、ちょっとむくれたりしたけれど、それさえ私を空気のように素通りして、後ろの遠くへと消えていきました。
あなたに投げかけたことばは、あなたの瞳で跳ね返されて、私の心を切り裂くばかりでした。
私の辛さやかなしみさえ、あなたは黙って投げ返し、私を打ちのめしました。
もう、身も心もボロ屑のようになって、それでもあなたの前にいられるなら、それでもいいと思っていました。
いつかきっと、あなたの肌の中に、そのぬくもりの中に、私を包んでくれることを望んでいました。
あなたの瞳が決して私を捉えることはないと知ったとき、わたしはあなたから去ろうと決めました。
あなたは私がいなくなっても、これまでと同じように、私がいたはずの場所の向こうだけを見つづけるのでしょう。
あなたのこころに私がいないので、私はあなたから去ろうと思いました。
そして、あなたから背を向けて、あなたがずっと見ていたものを探しにゆきます。
もし私がそれを見つけられたら。
それをあなたに差しだしたら、そのときあなたは私を見てくれるでしょうか。