オヤジ達の白球 61話~65話
「それがさ。どうやらもう、後の祭りみたい」
「後の祭り?。なんでだ、いまならまだ登れるだろう。帰れるだろう」
「交換しそびれたの。あたしの車はまだ、夏タイヤを履いたままなの。
ノーマルタイヤじゃあの坂は昇れないと思うな。たぶん・・・」
「夏タイヤのままか。なんてこったい。
それじゃ登れないな、あの急坂は・・・」
「そう思うでしょ、あんたも。
いいわよ私のことは。このまま、お店に泊まるから」
「泊る?。ずいぶん無茶なことを平然と言うねぇ。
布団は置いてないぜ。
しょうがねぇなぁ。しかたねぇ、俺が送って行ってやる」
「あら。あんたが送ってくれるの。嬉しいわ。
でもさ。あんたの車は大丈夫なの。
ちゃんと、雪用のタイヤを履いているの?」
「大金をはらって新品のスノータイヤを装着したばかりだ。
この日のためにな」
「あら。わたしのためになんとも用意周到なこと。
ついでに送りオオカミにならないでね」
作品名:オヤジ達の白球 61話~65話 作家名:落合順平