雨の妖精フォーナ
わたしはとっても気分屋で、いろんな歌をうたうから、どれがだどれだかおぼえてないかもしれないよね。
ゆっくりだったり、しずかだったり、うるさいっていわれるほど大きなこえで歌ったり。ほかの子といっしょに歌うこともあるしね。たとえば、雷の子とか。
みんな、雨はきらい?
きらいなひとは多いよね?
せっかくさいたお花をちらしてしまったりするし、たのしみにしてたピクニックに行けなくなったりするもんね。
だからね、歌うの。
みんながさびしくならないように。かなしくならないように。
でもね、どんなに明るく歌っても、みんな聞いてくれないの。どんなにたのしく歌っても、みんなさびしそうなの。
やっぱり、お日さまが好きよね。明るいしあたたかいし、おそとであそべるし。
わたしだって、みんながわらってるのを見たいんだよ?
だから、雨ふりのときは歌うの。
雨のしずくは小さな音符。小さすぎてわからないけど、あつめたら見えるよ。
ほら。屋根からおちるしずく。木のえだにたまったしずく。
耳をすましてみて?
ちいさな水たまりにおちたととき、音符が見えるよ?
とおくでふる雨はにじをつくるよ?
よく見てみて?
虹のいろは七つ。ドからシまでのおとも七つだよ。
だからね。
雨ふりのときは、耳をすましてみて。
きっと、わたしの歌が聞こえるはずだから。