【詩集】 蒼い風
遠い呼び声
澄んだ大気ともえる緑
名も知らぬ小鳥のさえずり
風が梢をゆらす音にまぎれて
きこえるかすかなささやき
耳にとどかないほどかすかな
しかし鐘の音のように
透明なよく響く声
どこかでいつか
聞いたことのあるような
なつかしさにとらわれて
立ちつくす森の小径
耳を澄ましても聞こえない
聴こうとすればするほどに
その声は遠ざかってゆく
心を澄ませば聞こえる
そう、心を素直にして
だれにだって聞こえる
陽に灼けた森の匂いとともに
ひとの心に優しく響く
それは
こころの還るべきひとの呼び声