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みゅーずりん仮名
みゅーずりん仮名
novelistID. 53432
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俺々シリーズ苛立ち編 『 折り紙札付きの話 』

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あいつは折り紙付きの不良だ。…あ、札付きだった。俺は中学の頃に原付バイクを乗り回していた奴らを思い出して笑う。俺は、今では単車が愛車のヤロー。いつもじゃないけど、休日の度に湖へ向かい、その水面を見つめ、何も超えないことへの不満を感謝に変えている。日本では、湖伝説は少なく、怪獣もいなければ幽霊もダムに持っていかれてる。それで俺は、湖には魅力半減のレッテルが貼られてるようなもんだと高をくくり、よく湖を見物しに行っているのだ。
この間ふと、そのこと自体が空しいような気持になり、釣り道具一式をそろえ(柄が伸縮型のもの)、一人で湖へ出かけた。釣ってもいないと言うが、魚を食うのが目的じゃなければいるらしい。釣り糸を垂らして数分で、なんか小鳥みたいなのが釣れたが、すぐに逃がした。それから、道具を隠して小舟に乗り込み、湖の真ん中まで出て行った。もう昔みたいに、日向ぼっこだけで幸せということもないのだろう。釣り糸は何度も食卓では見たことのない系のやつを吊り上げ、その度に俺は舌打ちした。ぐらりと船が揺れる思いに、湖の中に落ちてしまいそうになったが、こんなつまらないことで死ぬのも嫌すぎる。

もう20匹以上も釣れてる、そして逃げさせてる。俺は苛立ちながら単車のところまで帰り、不安定な奴しか愛さない、と呟いた。帰りはいつもより混んでいる週末の道を、ゆっくり背中と腰の運動みたいな動きを入れる走りで帰った。部屋に戻ると水槽が脳裏に浮かんだ。そうだ、今度何か持って帰ろう、そうすれば良かったな。だが心配だ、生きたやつを生け捕りにすると嫌なことがあるかも。クローゼットの中から折り紙を取出し、鶴を折った。千羽になったらやばい話、と俺はタイトルを口にして、この鶴が俺のために使われないように願った。