死んでも俳優~それこそが役者魂(プライド)~
彼は、人気だけでなく、実力も高い、国民的スター。さまざまなドラマ、映画、舞台、ミュージカル、バラエティ、CMと、あっちこっちから引っ張りだこだった。
ある夏の日の事。
「お疲れ様でした~」
「はい。お疲れ様でした~」
「今日も仕事が終わったな~」
雨澤は帰った。
ドアのカギを開けて、家に入り、そして、ソファーに座る。
だが、「ただいま」は言わない。そう、雨澤は、1人暮らしなのだ。
「フ~ッ!!今日は疲れた~!!!」
そのまま、雨澤は寝た。
次の日の朝。
「フ~ッ!!良く寝たな~!!!」
しかし、何かいつもと違う。
「アレ?何か妙に身体が軽い?気のせいかな?」
とりあえず、雨澤は、台所へ向かい、冷蔵庫から色々なモノを出して、朝食を食べ、コーヒーや牛乳を飲む。そして、
歯を磨こうと思い、洗面所へ向かった。
だが・・・・・・
「ア・・・・・・!!アレ・・・・・・!?」
そう、鏡には、自分が映っていなかったのだ!!!
(ど・・・・・・どういう事だ・・・・・・!?まさか、さっき起きた時に妙に身体が軽過ぎるような気がしたのと、
何か関係があるのか・・・・・・!?)
急いで寝室に戻ると、そこに、自分の身体があった。
(やっぱり!!!まさか・・・俺は、死んじまったのか!?でも・・・何で・・・・・・!?)
イチかバチか、同じ俳優の親友を頼ろうと思った。
「ハァハァ・・・・・・」
走って親友の家へ向かった。
〝ピンポ~ン〟
(身体はないけど、触れる事は出来るんだな)
「は~い」
ドアが開いた。
〝ギィ~〟
「おう!!恭時!!!どうしたんだよ!!!」
「良かった!!!」
「え?」
「盾哉、俺が見えてるんだな!!」
「え!?何だよ!!(笑)何ワケわかんねぇ事言ってんだよ!!!」
「ちゃんと、俺の声も聞こえてるんだ!!!良かった!!!
コレは奇跡だ!!!」
「いや!!お前、おかしいぞ!!!どうしたんだよ!?」
「いや、俺、実は、死んじまったんだよ!!!」
「は!?」
その後、雨澤と阪部は、ドラマのスタッフ達のところへ行った。
「あの、多分、見えないと思いますけど、ここに雨澤が
いるんです!!!」
「ん~・・・そう言われても、信じられないね~・・・・・・昨日まで元気だった雨澤君が突然死んで、幽霊としてそこに立っているなんて・・・・・・」
すると・・・・・・
カメラを調整していたカメラマンが言った。
「ここに雨澤君と思わしき人の姿が映ってます!!!」
「何だって!?」
「え!?」と、驚いた雨澤が言った。
「でも、こうやって、雨澤君の姿も声も、カメラに収められるなら、雨澤君は、俳優を続けられるんじゃないのか!?」
「え!?」
「分かりました!!!やります!!!」と雨澤が答えた。
「え!?」と、阪部が驚いた。
「どうした?阪部君」とプロデューサーが聞く。
「コイツ、今、〝やります〟って言いました」と阪部が答える。
「そうなのか」
「はい」
「でも、お願いしたい事が1つだけあります」と、雨澤が言った。
「あの、コイツ、今、〝お願いしたい事が1つだけあります〟と言いました」と阪部がスタッフ達に言った。
「え?」
作品名:死んでも俳優~それこそが役者魂(プライド)~ 作家名:COLK