私の幻想はホントにあった
「澤野ミリカ」という、
父親が日本人、母親がイギリス人のハーフの
中学1年生の少女がいた。
今日は、7月15日(金)。
昼休憩のチャイムが鳴る。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「いただきま~す!」
「だから!魔法はあるんだって!!」
ミリカが友達の「園田聖子」に言った。
「はい。分かった分かった」
「もう!信じてないな~!!」
「いや、ミリカ、もう中学生よ。良い加減、
現実とフィクションの違いぐらい解らないの?」
「そういう聖子こそ、
何で〝現実世界に魔法がない〟って説明出来るの?」
「いや、だって、あんたも、小学生の頃から
理科の授業で〝物理の法則〟を教わってるでしょ?」
「そうだけど・・・でも、聖子だって、
その〝物理の法則〟が何であるのか解らないでしょ?」
「う~ん・・・・・・」
「じゃあ、〝物理の法則〟があるのは当たり前じゃないし、
〝魔法〟も、〝絶対ない〟とは言いきれないじゃない!!!」
「・・・・・・そうだけど、でも、何でそんなに魔法を信じたいの?」
「そりゃ、だって、便利だし、何より、凄く夢があるじゃん?!」
「ん~・・・確かに、夢はあるけど、
そこまで〝どうしてもあって欲しい〟とまでは思わないし、
便利かもしれないけど、私達の生活には、機械があるから、
それで充分、不自由はしないかな~?」
「・・・・・・」
しばらく経って、
夏休みに入った。
7月23日(土)。
この日、いよいよ大阪のおばあちゃんの家へ行く日だった。
いつもは忙しい父も、今回の旅行のために2週間の休暇を
取っており、皆、早起きした。
「よ~し!じゃあ、皆、行きますか~!!」
「お~!!」
そうして、新幹線に乗った。
新幹線の中で、皆で駅弁を食べる。
「美味し~い!!」
しばらく時間が経ち、ミリカは、アイスクリームが食べたくなった。
「ねぇ、この新幹線の中の車内販売で、アイスクリーム、
売ってるわよね?私、前の車両に行って買ってくる!!」
「ちょ、ちょっと!!待ちなさい!!待ってれば、
こっちにも回ってくるわよ!!」と母が言う。
父も、同じように、
「そうだぞ!!大人しく待ってなさい!!」と言った。
「やだ~!!今すぐ食べたい!!」
「仕方ない子ね~。じゃあ、買ってきなさい」
「やった~!!」
父は、
「良いのかよ・・・」と、小声でつぶやいた。
「じゃあ、私、前の方の車両に行ってくる!!」
「気をつけてね~!!」
「は~い!!」
ミリカは、いくつか前の車両へ移動した。
自動ドアがいくつも開く。
〝ウイ~ン〟〝ウイ~ン〟
「アイス!アイス!」
すると・・・・・・
「え?何コレ?」
そこは、新幹線とは全く違う、西洋風の、ファンタジー作品にでも
出てきそうな列車だった。
目の前には、銃を持った男達と、その男達にロープで縛りつけられている人質を見た。
「え・・・?え~・・・!!??」
「助けて~~~!!!」
銃を持った男達は、その列車の運転手や乗客達に
「フッフッ、コイツらを返して欲しけりゃ、大人しく3000万フェリス持って来い」と言っている。
(フェ・・・フェリス?もしかして、身代金かな?とにかく、
何か、この人達、凄く怖い!!)
突然、目にする、この、今まで目にした事がないほど衝撃的で
残酷な様子を見て、ミリカは、とても怖がった。
「怖い・・・助けて・・・!!!」
「おい!!さっさと金、持ってこい!!!」
(どうすんの!?どうすんの!?コレ!!!」
すると・・・・・・
〝ガシャ~ン!!!〟
窓ガラスの割れる音が聞こえた。
「こんなところで暴れちゃダメだ。大人しくしな」
「え!?」
何やら、とても気の強い美少年が窓ガラスを割って列車に入って
きたようだ。
少年は、ガムを噛んで、風船のように膨らませていた。
まるで、全く緊張などしていないよう。
「あ?お前、俺達にケンカを売る事がどういう事か分かってんのか?」
「いや、ケンカを売るも何も、そもそも、こんなところで暴れてるあんたらが悪い」
「何だと~!!おい!!コイツをやっちまえ~~~!!!」
「オラ~~~!!!」
「しゃあねぇな~。無駄なケンカはしたくないんだけどな~」
その時、少年が膨らませたガムが弾けた。
〝バン〟
すると、なぜかガムが消えた。
テロリストの男達は銃を発砲した。
〝バンバンバン〟
少年は、銃弾に手をかざした。
〝シュ~ン〟
すると、全ての銃弾が一瞬止まり、ひっくり返ってテロリスト達の
方向に飛んだ。
しかし、その銃弾は、テロリスト達にはスレスレのところで当たらず、全て壁に当たり、いくつも穴を開けた。
もちろん、少年がわざと外したのだ。
〝ドンドンドン〟
「ヒィ~ッ!!!」
「だから言ったんだよ。あんた達が暴れるから、こうなっちゃうんだよ」
「な、何だコイツ!!とりあえず、逃げるぞ!!」
「悪あがきするな」
〝ボコ〟〝ボコ〟〝ボコ〟
少年は、持っていた剣の鞘の部分でテロリスト達の急所を突いて気絶させた。
〝ドサッ〟
ミリカは、
(何この人!!カッコ良い~!!!)と思った。
しばらくして、テロリスト達は、連行された。
作品名:私の幻想はホントにあった 作家名:COLK