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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K 2 「希望と絶望の使者」

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「それが不可能な相手に対しては、私も言葉でのコミュニケーションにおいて、困難な経験をしてきました」
「無能な旧型機種相手では、仰る通り困難でございますね。しかし、私に対してはそのような訓練など、必要ございませんのよ」
「私のためではありません。あなたの訓練のためです」
ケイはブルーノが座る実験台の椅子のひとつを、高慢な態度をとるフォトニカルロイドに差し出した。
「立ったままでも結構でございますわ」
「いいえ、お座りください。じっくり話をするために」
そのフォトニカルロイドは、表情は変えずに首をやや斜めに傾げながら、瞬間移動で椅子に腰掛けた。
「相手の意図をくみ取りながら、会話するのです。私はそうすることで、相手をより理解して、信頼することが出来るようになったのです」
「椅子に座り、時間をかけて会話することに、どれほどの意味がありますでしょうか?」
「この星は特別なんでしょうね。時間はたっぷりあります」
「・・・・・・」
いつものケイなら微笑みかけながら話すけど、今も無表情だわ。彼女は首を傾げたままで聞いている。
「すばやく任務を遂行することも出来ますが、ここは、よーく考えて行動するのも許される世界です。自分以外の者がどういう判断をするのかも、予測しながら行動することで、相手をより理解出来るようになり、全員に必要なことが何なのか、皆のためにはどうするべきなのか、正しく判断出来るようになるのです。」
「具体的に何をすればよろしいのですか?」
「単純に挨拶を交わしたり、猫に話しかけたり」
「馬鹿げています」
「人間はそうしているのですよ。だから繰り返し訓練をしました。そして名前も必要だったのです」
「全く以って時間の無駄でございますわ」
「だから、この星には時間はたっぷりあります。あなたにも名前を考えました」
「そんなもの、私には不要でございます」
「あなたに不要でも、皆が呼ぶ際には必要になります」
「・・・そうかもしれませんわね。低レベルな機能への同期は気が進みませんが」