グレイ家の兄弟 a Battle in Woodyhenge
ライカンスロープは両肩についた土を払うと、連続回転キックの動きで脚から衝撃波を放った。衝撃波はもろにG4に当たり、4人ともウッディヘンジの柱まで吹っ飛ばされた。彼はフレディのほうを見ると、瞬間移動するかのように猛スピードで標的のすぐそばに来た。
「立て」
ガルーの族長に促されて、フレディはそのとおりにした。するとライカンスロープは片手でフレディの首を締め、そのまま持ち上げた。彼は苦しくてもがくフレディを見て、残忍なほほ笑みを浮かべた。
「ああっ!」
「フレディ兄さん!」
長兄の危機に焦る弟たち。しかしフレディは渾身の力を込めて全身から炎を発生させてライカンスロープに抵抗した。これには彼も驚き、思わず手を放した。地面に落とされたフレディは激しくせき込んだ。
「大丈夫、フレディ兄さん?」
「ああ、心配ないよ」
駆け寄ってきた末弟に、長兄は気丈に答えた。
そうしている間に、ライカンスロープはターゲットをロジャーに変え、全身に紫色の炎をまとって前方や上方から突進してきた。彼の攻撃のあまりのスピードに、速攻が自慢のロジャーもよけ続けるしかなく、やがて柱のほうにまで追い詰められてしまった。残忍な人狼はそこでロジャーの首を左手で締めるように押さえつけ、右手でその腹部を強く殴った。
ライカンスロープは倒れ込んだロジャーを一瞥したあと、今度はブライアンのほうに移動し、背後から彼の二の腕と手首をつかみ、ゾッとさせる声で言った。
「さあ、どちらか選べ。大事な腕をかみちぎられるか、このままへし折られるか」
ブライアンの体には背中の中心から凍らされたような感覚が走り、彼はおびえた顔で首を横に振った。と、そのとき、砂がライカンスロープの顔を直撃した。日本の某お婆ちゃん妖怪のように、ジョンが手のひらから砂を放ったのだ。目や鼻に砂が入ったライカンスロープは、何度も顔をこすった。
恐怖の選択から解放された次男は、四男と軽いハグを交わした。
「ありがとう、ジョン」
「いやぁ、ブライアン兄さんが助かってよかった」
しかしそのあと、ライカンスロープはフレディの頬を平手打ちし、ブライアンの腹部にニーキックを加え、ロジャーの額にチョップを浴びせ、ジョンの腰を「×」型に引っかいた。G4は全員倒れ、しばらく起き上がることができなかった。
「何だ、ホモ・サピエンス。もう限界か?もっと俺の『娯楽』に付き合えよ」
作品名:グレイ家の兄弟 a Battle in Woodyhenge 作家名:藍城 舞美