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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 信頼 一話

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「美那子、家族と言うのは信頼関係が一番だと思うの。時にウソを言わないといけないことだってあるのかも知れない。他人を騙すような意味合いでつくんじゃなく、相手のことを思って違うことを言ってしまうという事よ。でもね、三枝くんと関係してあなたを妊娠したんじゃない。だいたいそんなことするはずがないじゃない。お父さん以外ともしそういう関係をするとしたら絶対に妊娠しないようにお互いが気を付ける。変なこと言っているけど不倫なんてそういう事が一番大切なルールなの」

美那子は母親が踏み出して話していることにびっくりした。そして、もし自分に彼が居てそれでも他の男性と関係するとしたら、絶対にバレないように、当たり前に妊娠しないようにするだろうという事は納得出来た。母は三枝を好きだと感じていても深い関係まで踏み出せなかったのかも知れないと思うようになった。

美樹は自分の部屋に戻って考えていた。
秀一郎にも美那子にも三枝との不倫を知られているという事を。
夫が浮気をしているからと言って自分もしていいという事はない。子供たちから理解を得られないからだ。もちろん自分の両親からも理解されることはない。
女は損な立場かもしれないが身体の不満は夫以外に、はけぐちを求められないという理不尽さを嘆いていた。

暫く三枝と連絡を取っていなかった美樹だったが、今回のことを話そうと思った。
メールで連絡を取り美那子と秀一郎が出かけている昼間に前回待ち合わせをしたレストランでランチをした。
一通り秀一郎と話した内容、美那子と話した内容を伝えた。

「美那子ちゃん、辛かっただろうな。本当にバカなことをしたよ」

「もうその事は言わないで。今日はもう二度と二人でこうして会わないと決めたことを言いたかったの。解って欲しい」

「うん、こうなったらおれも諦めるしかないな。旦那が浮気相手と本気になったらどうする?」

「ええ?どういうこと」

「お前と別れたいと言ってきたらという事だよ」

「それは無いでしょう。銀行員よ、そういう事が行内で分かったら出世に響くし」

「正式に離婚してから再婚したという事にすれば問題はないよ」

「まさか、そんなことを考えているとは思えない」

「暢気だなあ~お前は。そういう楽天的な部分がいいところだけど、うかつなところでもあるぞ」

美樹は三枝に言われたことが自分の欠点なんだと笑えた。