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Aprikosen Hamlet ―武蔵野人狼事変―

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 戦争による混乱は、東京全土に拡大していた。首都の中枢に近い神田・秋葉原では、多くの犠牲者が食人種に感染し、生存者に襲い掛かるという、まさに恐怖映画の如き地獄絵図が広がっていた。同盟軍も決死の迎撃を試み、次々と討伐部隊を動員し、激烈な地上戦が展開されている。

神田大隊(battalion)
「国鉄駅の近くで、別の食人種を発見したわ! あいつらに線路を奪われたら、補給線を維持できなくなっちゃう…援護をお願いしますぅ~!」

沼津連隊(regiment)
「他の者達は私と共に、神田名神を守護しなさい! 愛こそ全て…いざっ、召喚!」

 専門的な事はともかく、同盟軍も人材不足であるという事が分かるだろう?

本行寺道理「死ね」

 そんな中、食人種の大群に対して一歩も動じず、粛々と「害獣駆除」を遂行する、二人の戦士が居た。

本行寺道理「敵も味方も無能だらけ、下らん。当職に相応しい奴は、どこに居るんだか」

 その一人である孤高の傭兵、本行寺道理(ほんぎょうじ みちたか)は、何体殺しても終わらぬ「狩り」の日々に、飽きを覚え始めていた。そして、もう一人は…。

塔樹無敎「ま、それが私達の仕事さ。悪くは思わない事だ」

本行寺道理「割り切ってしまえば、それまでだがな…無敎」

塔樹無敎「多くの事物は、そうだろう…あ、寿能先生からメールが来た」

本行寺道理「なるほど…ガラケー同士なら、少ない電力でも回復できる性質を利用したか」

塔樹無敎「そういう事だ」

 秋葉原に居た「本物」の塔樹無敎は、外見は古くとも中身は最新の携帯電話を確認する。

十三宮顕「筋書きに沿い、﨔木長州が偽無敎をレールガン攻撃した。その電磁誘導に乗じて、本文を送信する。間もなく、同盟軍がアプリコーゼンに来援し、池上町を制圧予定。無敎殿は本行寺と共に、神田にて津島隊と合流されたし。全ては、計画通りに進んでいる」

本行寺道理「…現状、問題ないか?」

塔樹無敎「ああ、ここまでは順調だ。予想通り、﨔木君は私の幻影を撃ってくれた。先生も、事態を上手く誘導してくれたようだ」

本行寺道理「偽者を用意するとは、お前も良く考えたな」

塔樹無敎「ああ…﨔木君は、あの『村』で魔女狩りゲームを殺りたかったようだが、本物の魔女は、別に実在したんだよ。あの時、東京湾要塞に…」