入れば?
「そう言えば、これ貰ったんだよぉ」
笑空さんが、自分のバックから取り出したものを、テーブルの上に置きます。
「─ 鈴?」
「可愛いでしょ?」
突然、姿勢を正す笑空さん。
「チリーン」
「な、何?」
「チリーン、チリーン」
「だ、だから…何してるの?!」
「鈴の音の真似」
「…は?」
「チリーン、チリーン、チリーン」
「い、意味不明なんだけど!?」
「─ ほんとに鳴らしたら、五月蝿いって怒るでしょ? 和伊ちゃん」
「鈴を眼の前に置いた人が『チリン、チリン』言ってる方が、よっぽど不気味で迷惑なんだけど。」
「鳴らして良い?」
和伊さんが頷くや否や、笑空さんの手が、テーブルに伸びます。
鈴から伸びた紐を指で摘むと、いそいそと 目の高さまで持ち上げました。
「じゃあ♡」
─ チリーン ─
「最初から、そうしなさいよ。」
─ チリーン、チリーン ─
「まあ、良い音色かもね──」
─ チリーン、チリーン、チリーン ─
「…もう良いんじゃないかな?」
─ チリーン、チリーン、チリーン、チリーン ─
「ウルサーイーー!!」
「怒らないっていったのにぃ…和伊ちゃんの嘘付き。」