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お姉さんは好きですか

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「何を見てるの?」
私が聞いた。
「空…」
貴女が言った。
私は空を見る。
そこには何の変哲もない、いつもの空があった。
「空なんか見て楽しい?」
「どうだろ…わかんない」
そう言いながら、貴女はずっと空を見ていた。

貴女のその、不思議な魅力に私は魅かれ、けど…貴女の心は空に。

不思議な娘だと思ったの。
その不思議が、私の心を少しずつ占領していく。
日々、それは…ほんの少しずつ。
初めて気付いて、私は貴女を見つめた。
次に気付いて、私は貴女の見ているものを探した。
それから、我慢できなくて何を見てるかを訊ねた。
何か素敵な物があるに違いないと私は心を躍らせていた。
けれど、貴女の見ていたものは、日常に溢れた空。
一面の青に、白の雲が浮かぶだけ。
特に何も変わらない。
代わり映えのしない空。
貴女は、それを今日も眺めている。
何が楽しいのか、私には分からない。
貴女の楽しさが知りたくて、私は貴女の事ばかり考える。

きっかけなんて、些細なもの。

「また、空を見てるの?」
「今日は…機嫌が悪いかもしれない」
「え?」
「空…」
まるで、空は貴女の友達。
まるで、空は貴女の恋人。
空はあんなに遠いのに、私はこんなに近いのに、貴女と空の間に入れない。

なんだろう、このもどかしさ…。
私は、あの空より貴女を知りたい。



END