「美那子」 告白 二話
「うん、でも直ぐに歳をとるから頑張らないと嫌われるわね。息子の彼女美人だし、当たり前だけど若いし、嫉妬するわ」
「なんだ、そんなこと思っているのか。マザコンになっちゃうぞ、秀一郎君が」
「それは無いって。結構厳しい子だから。問題は美那子よ。あの子は私とあなたの血を引き継いでいるから心配なの」
「彼とおかしなことにでもなっているのか?」
「そうじゃないけど。目覚めれば怖いって感じるの。一時期秀一郎に関係を迫ったみたいだしね、兄妹って言うのに。私にはあの子の気持ちが解るの。それはきっと体が反応するからだと思う」
「感じやすいっていう事言っているのか?まだバージンなんだろう、心配することないよ」
「かも知れないけど、秀一郎に彼女が出来たから自分も彼が欲しいと思っている。一度経験したらとめられなくなるという事が心配なの」
「それは仕方ないよ。高校を卒業したら親なんて干渉できない。あまり先走って心配ばかりしているとストレスで体調悪くするぞ。そろそろ更年期に入るだろうし」
「女じゃなくなるっていう事ね。夫が手を出してこなくなったのはそういう見切りをしたのかしら」
「おいおいそんな話をするなよな、仮にも彼氏だぜ」
「ヤキモチ?私は奥さんにはしないよ」
「美樹は自信があるからおれの妻なんかには負けないって思っているんだろう?おれは違うんだよ」
「芳之さんは夫より素敵よ。仕事だって負けてないし。あっちなんか比べ物にならない」
「でも美樹が他の男に抱かれていると考えると我慢出来ないんだよ」
「お互いにそうよね。私が悪かった。もうやめましょう。長くなると疑われるからこれで切るね。じゃあ」
美樹はやはり三枝を忘れることは出来なかった。
今は我慢できるが、間が空くと、そしてお酒が入るときっと噴き出してくる性欲を抑えることが出来なくなってしまうと感じていたからだ。
女性も男性も性欲が衰えれば身体が衰えていなくても性行為をしたいとは思わなくなる。
女性にとって閉経はそのきっかけとなる場合が多い。
中には妊娠しなくなったという安心から性欲が強くなる人も居る。
どちらにしても女性は好きからセックスへとシフトする。美樹は好きでもない男性と関係を持った経験は無いが、お酒の場所で一夜限りの関係を結ぶという事をしないとは言い切れない女なのだ。
作品名:「美那子」 告白 二話 作家名:てっしゅう