ものの芽
風が私を通り抜け木々の葉は揺れ雪が降る。冷たさが心にも染みていく中を歩く。
後ろを振り返ると自分の足跡、白い息と体の暖かさが生きていると思い出させる。
死んでいる様に生きている訳ではないが生を全うしているかと言われるとそうでもない。
普通になりたいと願い苦しむ日々、私もこの雪の足跡の様に誰にも気にされずに消えていければいいのにと。
夏にはこの冬景色が恋しく、冬には夏の森の青々しさが恋しくなるように、これからもわがままなのだろう。
優しく春のように、またそっと寄り添う秋のようになりたかった。見分不相応な願いなのだろう。もう叶わない。