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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「美那子」 疑惑 二話

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暫くして泣き止んだ美幸に秀一郎は慰めるかのように小声で言った。

「今日はこのまま帰ろう。酔っていない時に話さないと本当だと感じられないんだ」

「ええ?じゃあ、また会ってくれるのね?」

「話すだけかもしれないよ、それでいいなら」

「ロビーで番号教えるから名古屋へ帰ったら連絡して」

「うん、解った」

美幸は作戦勝ちだと思った。
秀一郎はそろそろ美那子とは距離を置かないといけないと思い始めていた。
しかし、一番の問題は母親の不倫だった。

部屋まで戻ってきてまだ起きている美那子が話しかける。

「お兄ちゃん何処へ行っていたの?長かったじゃないの」

「うん、一周してきたから」

「それよりね、お母さん何故あんなことしたんだろう?」

「あんなことって?」

「お兄ちゃんに抱きついたじゃない」

「単に酔っぱらっていたからじゃないの?」

「ううん、いくら酔っていても女はそんなことしないよ。まして自分の息子にだよ。お母さんお兄ちゃんが好きなんだよきっと」

「またそれか?ほんとうにバカなこと言うと怒るぞ!」

「じゃあ、誰かと勘違いでもしたというの?」

「ええ?誰かと勘違いって・・・父さん?」

「ハハハ~そんなことあるわけないじゃん。バカね」

「バカとは何だ!お前こそいい加減な推測でものをいうんじゃないよ。母さんが誰と勘違いしたというんだよ」

「三枝さんとか・・・」

秀一郎は美那子の鋭さに驚かされた。
これも女の感というやつなのだろうか。

「同級生だと言っていたから、そういう関係じゃないと思うけどな」

「私ね、空港で手を振った後三枝さん投げキスしたでしょ?私たち三人に向けてしたと思うのに、お母さんだけ真顔だったからひょっとしてって思うようになったの」

「美那子は鋭いなあ。感心するよ」