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残虐ナルシ
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novelistID. 65728
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ドラゴンクエストⅡ サマルトリア王子伝

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序章……? 差し伸べられた手

 ロトの勇者が大魔王からこの世界を救い、さらにその子孫が竜王から再び闇に飲まれたこの世界を救って数百年経った。
 ロトの子孫が建国したローレシア、その子供たちにより独立したサマルトリアとムーンブルク、比較的最近建国された軍事国デルコンダル 、原初の大陸を治めるラダトームの五大国の統治のもと、世界には長い平和が訪れていた.
 そんな平和の時代に僕は???の第一王子として生まれ……


序章 In The Deep Darkness & Before The Last Battle

「……い!おいっ!聞いているのか?」
「……!?すまない、考え事をしていた」
 私はハッとし、目の前の声の主のほうをみる。
 目の前にはその声の主のほかにも二つの巨大な人影ともう一つ、祭壇の前にローブを羽織った御方がそこにいた。
 声の主はその特徴的な鼻をフンと鳴らすと紫色の体毛をたなびかせながら前方にいる人物に視線を向ける。
「まあ、いろいろとお前にも思い入れがある戦いだったしな。少しくらい物思いにふけるのもいいじゃないか、ガハハハハハッ」
 二本の角を持つ黄色いふくよかな巨体を持つそれは豪快に笑いながら先ほどの声の主をたしなめる。
「しかし、わが同胞の話している最中だぞ‼」
「われらが同胞はそれくらい何も思わんくらい心が広いことはそなたも知っておるだろう。もっとも、お前の心は狭いかもしれんが」
「俺を侮辱するというのか‼いいだろうベリアル、ここで決着をつけてやる‼」
「望むところだ、バズズ‼いい加減うんざりしていたところだしな」
バズズ、ベリアルと呼ばれたふたりはそれぞれ先頭の構えを取る。
すると……
「いい加減にするのじゃ」
 祭壇の目の前に立っていた御方が一喝すると、それまで騒がしかった二人が瞬時に口を閉ざした。
 その御方はローブをはためかせ、振り返ってベリアルとバズズを一瞥して言った。
「もうすぐロトの子孫どもがこのロンダルギアの台地に踏見入っているというのに、こちらが内部で争ってどうするのじゃ」
「失礼した、わが同胞よ」
「すまない……」
 バズズとベリアルの二人は震えながら祭壇の前の御方にかしずき謝罪した。
「ソンナコトヨリ、オデ、ハヤク、ユウシャトタタカイタイド」
そういってもう一人の、ベリアルの隣にいた一本角のオレンジ色の巨人が雄叫びを上げた。
「案ずるな、アトラスよ。直に戦えるのだ、その時に思う存分暴れてくれればよい。そなたの力には期待しているのだからな」
「ヘヘヘ、ワカッタド、ハーゴン」
 そういって巨人アトラスは祭壇前の人物、大司祭ハーゴン様に言われ、うれしそうに笑った。
そのままハーゴン様が歩いてくると、私の方を向いた。
「そなたにもこれまでの活躍と同様、期待しておるぞ」
 ハーゴン様にそう言われ、私はひどく感激していたいところだが、それを顔には出さずに、いつも通りの冷静な面持ちで
「かしこまりました、ハーゴン様」
というだけにとどめておいた。
ハーゴン様は一瞬にやりと笑うとそのまま過ぎ去り、私たちの後ろにいる魔物たちに向かって、塔中に響き渡るように言った。
「よいか、勇者たちはすでにロンダルギアの台地に踏み入っているのじゃが、おぬしらやここにいるロンダルギアの神々のおかげでかなり疲弊しているという」
 魔物や神官たちからは歓声が上がった。
 ハーゴン様は変わらず真剣な表情で続ける。
「だが、それでも伝説の勇者ロトの血を継ぐもの、その力は最後まで油断はできぬ。それでも、勇者たちが疲弊しているこの時は好機であることに変わりない。だからこそ、われらが団結して勇者をなぶり殺し、世界中の人間どもに絶望を与えるのじゃ‼」
「「ウォォォォォォ―――――ッッ‼」」
そうハーゴンが演説を締めくくると、魔物や神官たちはこれからの戦いに心を躍らせるように、自らを奮い立たせるように雄叫びを上げた。
そして、魔物たちとロンダルギアの神々ことバズズ、ベリアル、アトラスの指示でそれぞれの軍の持ち場についてゆく。
ハーゴン様は私に近づくと、私の肩に手を置き、眼をのぞき込んで言った。
「おぬしがロンダルギアの神々になってから全てが上手くいっておる。この最後の戦いにおいてもよろしく頼むぞ、ハデス」
 そういって、ハーゴン様は祭壇の前に戻った。
 おそらく、破壊神を召喚するための儀式を続けるのだろう。
 勇者が倒されたのち、この教団が絶望した世界を支配するために必要な象徴を召喚するための。
 私はそのまま兜をかぶり立つと後ろにいたわが軍の神官やバーサーカーたちに向かって各々の持ち場につくよう指示したのち、自らの持ち場に向かった。
 私の持ち場はこの最上階の階段、ハーゴン様のいる最上階につながる階段を勇者たちが昇ってきたところで奇襲をかけるのだ。
 持ち場につきふと普段首元からかけていたロケットが気になる。
その中には三人の人間が笑いながら写っている「写真」というものがはいっていた。
 一人は人間だった頃の私、そして残りの二人はいま、勇者として人間の命運を背負っているかつての友であり敵が写っていた。
 半年前に旅先で撮ったそれをはめたロケットを私は首から引きちぎると、そのまま塔の窓から投げ捨てた。
 これで今回こそは心置きなくお前らと戦える……お前らとの思い出と決別して戦える。
 戦いたくて興奮する。
 戦いたくて辺りを破壊したくなる。
 戦いたくて……戦って、お前らよりも強いと証明したい。
「早く来い、勇者よ……ローレシア王国王子レックス、ムーンブルク王国王女プリン……お前らを殺すのはこの私だ‼」
 そう言って私は武器を構えた。
 俺はハーゴン様をお守りするロンダルギアの神々の一人ハデスにしてサマルトリア王国元王子、勇者よりも、レックスよりも強い最強の戦士アーサーだ‼

話は一年前にさかのぼる……。

To Be Continued……