28話 あとは野となれ山となれ -ご飯、これが一番ー
友人の染物の個展があったので久しぶりに出かけてきた。
昼食は二人でホテルのランチビュッフェで食べた。
ハロウィンなのでテーマにしたお料理やスウィーツがたくさん…、
チョコレートの蝙蝠や砂糖菓子の魔女を食べてきた…。
久しぶりに東京の季節を感じてきた。
「頑張ってるわね…」と言うと
「これがなくちゃ生きてる意味がない、税金を使う側じゃなくて一生払う側の現役でいたい…」と友人が言った。
未だ一線で活動する友人の話を聞いていて、眩しくて、なんか後ろめたい。
私も…何か、なんて一瞬思ったけど…。
海辺の町に住んでると夏以外は季節を取り入れたイベントは皆無に等しい、山や海の自然環境の中でその季節を感じる。
時間がゆったりと流れ生きる意味なんて何も無くて…。
東京の刺激は何もない…この退屈さに耐えられない時もあったけど、
でも、帰ってきて何かホッと息をついた。
最早ここが私の居場所…らしい…そう思った。
伊勢海老のキッシュもトリュフも無いけれど…。
夜は、厚焼き卵と明太子、納豆とお味噌汁、漬物…ほかほかご飯…。
美味しい~これに変わるものは無い。
作品名:28話 あとは野となれ山となれ -ご飯、これが一番ー 作家名:のしろ雅子