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ゴーストオイラン出現

　
　世界征服の野望渦巻く某大型悪の組織のカナダ支部。ここで今、一人の怪人が誕生した。肩の所が大胆に開いた、陰鬱なバラ色の妖艶な和服姿の不気味な怪人・ゴーストオイランだ。
「ゴーストオイラン、カナダの音楽界を恐怖に陥れよ！」
　紫色の皮膚を持ち、白髪頭で青目のウエンディゴ将軍が、恐ろしい声でこの女性怪人に命令した。（作者注：ウエンディゴとはカナダの妖怪の一種です）
「はっ！」
　ゴーストオイランは、白い目出し帽と白いシーツを合わせたような衣装の戦闘員を率いて任務に出掛けた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　同日、日本風の服を着た女性からもらった赤バラが突然爆発するという奇怪な事件が、トロントの複数の箇所で発生した。被害者はいずれも人気ギタリストたちだが、幸いにも（という表現も不謹慎だが）重傷者は出なかった。被害者の所属するバンドの他のメンバーも、被害を受けていないギタリストも、次は自分が標的になるのではないかと恐れ、落ち着いていられなかった。その日から、テレビをはじめラジオ、新聞など各マスコミは「犯人はどこだ」「新手のテロか」的なノリで報道合戦を繰り広げた。さらに悪いことには、バンドによってはファンの間でも犯人探しのようなことが起こったほどだった。