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カレーライスの作り方

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2. 宇能 鴻一郎風 カレーライスの作り方



 あたし、今すっごくお腹が空いてるんです、もう何日も『食べて』ないみたいに。
 いつもなら別の欲が一番先なんだけど、今は食欲が勝っちゃってるんです。
 お腹が空いてるときはカレーですよね、もう一匙も入んない、ってくらいに食べられるから、うふっ、もう一挿しも入んないって事はないけど。
 ご飯はさっきセットして、お釜がぶくぶく言ってます。
 男のオカマには用はないけど、ご飯を炊くお釜には用があるんです、あたし。
 お肉はさっき生解凍したけど、どうかな?
 うふふ、いい感じ、お肉の感触ってエロティックなんです、ぐっと指を押し込むと力に屈するくせに離せば元に戻ってくるの……思わず指が伸びそうになるけど、ダメよね、今お料理中なんですもの。
 ジャガイモを洗うんです、土の匂いがプンとして……オーデコロンの匂いもいいけど、土のにおいがする男の人も好きなんです、あたし。 だって生物としてのオスって感じがするんですもの。
 で、皮をむくんです、きゃっ、『皮をむく』ですって、中学生くらいの男の子を襲っちゃってる気分、でもダメよね、きっとあっという間に出しちゃってつまんないと思うの、そこへ行くと中学生くらいでも女の子はいいわよね、まだ固い果物って感じだけどそれはそれで初々しくて、あたしも初めては中学の……やめとくわね。
 今度はにんじん、これって皮を剥いてもドキドキしないんです、だって皮もその中身も同じ色なんですもの、剥け照るんだか剥けてないんだかわからないじゃないですか、形も先細りで……あ、上下逆さまにしたらすごい形、こんなの無理ってくらい、ちょっとジンジンしちゃうけど刻んじゃうわ。
 タマネギって苦手なのよね、剥いても剥いても同じでちっちゃくなるばっかりだし……大体女の子を泣かすなんてサイテー。
 でもこれが煮込むと甘くなるのよね、ウフッ、ウチの課長もそうなんです、会社ではすっごく厳しくて泣かされちゃうこともあるんだけど、トロトロにしてあげると甘~くなっちゃうの。
 お肉と野菜を炒めたらお水を入れて……っと、そうそう、ローリエを入れないと、お料理でもあっちでもスパイスって大切よね、気分が盛り上がるもの。
 ……煮えてきたわね、もうちょっと煮込んだほうがいいかしら……でもご飯ももう炊けちゃってるし、あたし、もう待ちきれない気分、え~い、もうルーを入れちゃえ。
 ぐるぐる、ぐるぐるとかき回して……ヤダ、かき回すですって、アノ時のこと想像しちゃうじゃない……うふっ、夕べはずいぶんかき回されちゃった。
 あ~、いい香り……いっただきま~す……うん、おいしい、でもやっぱりもうちょっと煮込んだほうが良かったかなぁ、あたしってせっかちなのよねぇ、今付き合ってるカレもせっかちだから、あたしの方でもっとじらしたほうがいいのかも、っていつも思うんだけど、我慢できなくって……。
 あら、あっという間に一皿食べちゃった、あっという間って物足りないわよね、ま、お代わりすればいいんだけどね。
 あ~、さすがにもうお腹一杯、もう無理、一挿し……じゃなかった、一匙も入んない。
 じゃ、お風呂でも入ろうかしらね、お風呂入ってリフレッシュして……続きはその後でね、愛しのカレ……じゃなかった、カレーちゃん♡
 
作品名:カレーライスの作り方 作家名:ST