13話 あとは野となれ山となれ -寂しい?者同士ー
この海辺のマンションは都心から近いのでセカンドルームとして持ってる人が多い。
何年か前までは釣りやサーフィン、マリンスポーツで賑わっていたが、最近、部屋のオーナーが高齢になってきて、都心に家を置いたままこちらに暮らしてる人が多くなってきた。
管理人さんのカウンターの前を通ったら、自分はお料理しないから持って行かない?って鰯を渡された。釣りのおすそ分けらしい…。
「じゃあ、南蛮漬けにして明日持ってくる…」って約束した。
でも約束しながら“あ々…私余計な事言ってる…”って後悔した。
実はちょっとめんどくさい…のに成り行きで約束しちゃった…。
でも…翌日、持って行ったら凄い喜んでくれた。
後日、お皿を返しに来て、
「すごく美味しかった!××さんとお酒のつまみで分け合って食べちゃった、久しぶりに酒が美味しかった…手料理久しぶりだって××さんも言ってた…旨い、旨いって食べてた」
お世辞かも知れないけど…作る人も食べる人も独り者同志。
何か…温めあった感じ。
人の為に何かしたの久しぶりだったけど…ちょっと良かったかな…。
作品名:13話 あとは野となれ山となれ -寂しい?者同士ー 作家名:のしろ雅子