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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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トロントの音楽隊 第1部

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 少し歩いていくと、猫又とビッグフットは切れ長の目をした、背が高くてやせたアジア系の若い男を見かけました。何と彼は自分から彼らに話しかけてきました。
「ちょっと失礼。君たちは、バンドの仲間を探しているのかい」
 まさにそのとおりのことを言われ、猫又はびっくり仰天。
「そ、そうだニャン。でも、何で分かったニャン?」
 アジア系の男は、ニヒルに笑って答えました。
「それは二人とも背中に楽器、それもギターを持っているからだ。そこで君たちにお願いがある。俺を君たちのバンドに加えてほしい、ギタリストとしてね」
 猫又とビッグフットは思わず顔を見合わせ、ビッグフットが話しかけました。
「でもおまえ、妖怪のオイラたちを見てもビビんねえのか?」
「俺も君たちと同じで、妖怪だ」
 そう言った直後、アジア系の男は人間ではとても出せない霊気を放ちました。その頭からは狐の耳が現れ、お尻からは狐の尻尾が九本も現れました。
「き、君もしかして、妖狐ニャン!?」
 猫又に問われると、雄の妖狐は軽く笑みを浮かべました。
「いかにも。俺は九本尻尾の妖狐、通称『九尾の狐』だ」
 猫又は、同郷の妖怪に会えて何だかうれしくなりました。
「ツインギターってのも、なかなかカッコいいなあ」
「九尾、おれッちたちのバンドにぜひ入ってニャン!」
「喜んで」

 仲間探しをしている間、3体の妖怪はこんな会話をしていました。
「残るはヴォーカルだな。バンドの顔と言うべき重要ポジだ」
「歌える妖怪は居ニャいかニャン?」
「いいヴォーカルに会いてえなあ」
 そんな彼らを見て、一人の長いブロンドヘアーの人魚がつぶやきました。
「あの人たち、面白そう…」
 そして人魚は彼らのもとへ歩いていきました。
「ちょっと失礼します。皆さんはどのような集団かしら」
「あぁ、おれッちたちバンドニャんだけど、仲間を探してるところだニャン」
「バンド!?それは素敵!」
 彼女は目をキラキラさせました。すると、九尾が彼女に話しかけました。
「君、とてもかわいい声をしてるね。ルックスも頭からつま先まで文句なし。このバンドのヴォーカルにぴったりだ。そうだろう?」
 猫又とビッグフットもうなずきました。こうして人魚の心は決まりました。

 結成、MONSTORONTO(モンストロント)!!