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オヤジ達の白球 11~15話

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オヤジ達の白球(11)
 飽きっぽい男

 居酒屋「十六夜(いざよい)」の閉店時間がちかづいてきた。
祐介がいつものように、厨房で洗いものをはじめる。
常連客がひとり、ふたりと勘定を済ませて帰っていく。

 カウンターに北海の熊。小上がりにゴム職人の岡崎が残る。
この2人は、いつも看板間際まで飲む。それもまた、いつものことだ。
「どれ」熱燗をもって、北海の熊が立ち上がる。

 「おい岡崎。ずいぶん熱心に坂上の話を聞いていたな。
 今度は何だ。坂上のやろう今度は何に熱を上げ始めたんだ?」

 「ソフトのウインドミル投法をマスターして、投手になるそうだ」

 「えっ、ウインドミルをマスターしてソフトボールの投手になる?。
 あいつがか・・・。
 笑わせるな。そんな簡単にウインドミルがマスターできるものか。
 センスのある人間が普通に練習したって、早くて3年はかかる。
 無理無理。まして運動音痴のあいつのことだ。
 10年経ったって絶対に、ウインドミルで投げられるものか」